とりっくおあとりーと/em ページ15
「トリックオアトリートです、
Aさん」
そう言いながら、こちらに手を差し出してくる教授。
その手を躱しつつ、目の前にある来客用のソファに座る。
「教授も案外俗っぽいところがあるんですね。
こういうイベントには興味が無いのかと思ってました。」
「テレビやら街中やらで
こうも大々的に宣伝していると
乗ってしまいたくなるものですよ。」
「そうですか」
「Aさんはハロウィンに興味は無いんですか？」
「今更、はしゃぐような年齢じゃありませんし
私は参加しませんよ」
「そうですかぁ……
見たかったなぁ、Aさんが仮装してるところ……」
「しませんよ」
何を想像しているんだか、
下心が見え見えである。
いつもは紳士然としてかっこいいのだが、
時々おじさん全開の時があるので
残念な人だなぁとしみじみ思う。
まぁ、そこも好きなのだけれど、
「で、Aさん
お菓子はくれないんですか？」
「すみません、持ち合わせていないもので」
そんな期待するような目で見つめられても困ってしまう。
「そうですか……
では、トリックオアトリート
『お菓子をくれなきゃ、悪戯するぞ 』ですから
悪戯させていただきますね」
教授の綺麗な顔が
間近に寄せられて、深い口付け。
彼の舌が口内を蹂躙していく。
味わうように唾液を舐め取られ、
まるで食べられているようだった。
「ん、はふ、ぅ……、きょ、じゅ」
逃げようにも頭を教授の手で
押さえつけられているので逃げられない。
長い長いキスにだんだんと息が苦しくなっていった。
せめてもの抵抗で彼の胸をとんとんと叩く。
名残惜しそうに唇が離される、
どちらのとも分からない唾液が糸を引く。
「ん、」
「っ、最初からこれが狙いだったんですか……」
「さぁ、どうでしょう？」
口元をハンカチで軽く拭いながら、飄々としている。
「でも、
私はいつでも人の仮装をした狼だって事、
忘れないでくださいね」
にやりと笑う彼は、ずるい人だ。
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Yuki.aruru(プロフ) - 国民さん» 思った。尚,とっくにハロウィンは過ぎている模様 (2018年12月28日 15時) (
レス) id: 6057cb562d (このIDを非表示/違反報告)
国民 - え？アレスさんの作品神すぎん？ (2018年12月7日 0時) (レス) id: a87cc0cd9f (このIDを非表示/違反報告)
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