.. ページ7
「…ごめん、ごめんな。」
俺は2人に謝った。これで許されるはずがないことくらいは分かっている。
だが、俺には死んだ2人に何が出来る?
謝っても聞こえるわけないじゃないか。
それに、こんなにクソみたいなことをした。大先生にクズとはもう言えない程。
いっそ、死んでしまおうか。
いや、死ぬなんてただ罪から逃げたいだけじゃないか。
じゃあ、何をすれば償えるのか。
分からない。
だが、背負い続けて苦しんで、そしたらいつか何をすればいいのか分かるかもしれない。
ならば、俺はまだ死ねない。2人に償いきれるまで。
死んでそっちに行った時、それこそ2人に顔合わせできない。
例えば、ほんの少しのことだが2人を寄り添うように同じお墓に入れよう。
そして、2人がいつも歌っていた歌を歌おう。
その他にも沢山償えることはある。
だからそれをできるだけ沢山こなして、良いと思える人間になろうじゃないか。
「そうだよな?」
問いの答えは返ってこない。でも、2人が許すって言ってくれた気がした。
恐らくこれが正しいと少なくとも今の俺も思っている。
俺は約束の意味も込めて彼女の手を取り、その手の甲にキスをした。
「せめて、せめてここだけは接吻させてくれ。」
そう言って。
今も彼女が好きなのは変わりない。この先死ぬまでずっと好きなのだろう。
だから、いつかそっちへ行った時に真っ先に褒めてもらえるような生き方をしよう。
次の人生では彼女ではない運命の人を見つけるつもりだから、今のこの人生は全て彼女とその恋人のために捧げよう。
この先、俺はどん底に落ちるのは間違いない。
総統が人殺し…しかも幼い頃からの仲間を殺したと国中に広がったらどうなるかなんて分かりきったことだろう。
そしたらオスマンが通っている教会にでも入信しようか。
いや、なんでもいい。
兎に角そっちに行ったら2人が真っ先に褒めてもらえるような生き方をしよう。
どん底に落ちたって何かやることがある。
だから、
「期待して待っとけ。」
俺は今までのことを報告するために、牢獄の外へと繋がるドアを開けた。
さぁ、新たな1歩を踏み出そう。
彼女達に追いつくくらいまで走るために。
____
手の甲のキス︰尊敬、敬愛の意志
309人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しらす - めっちゃ感動しました!!ありがとうございます (2019年4月27日 23時) (レス) id: 3e07d4634e (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - 素晴らしい作品を。。ありがとうございました。。。 (2019年3月24日 21時) (レス) id: 0b596b15a5 (このIDを非表示/違反報告)
アルバ|˙??˙))(プロフ) - 感動しましたっ…! (2019年3月18日 20時) (レス) id: c177f1386f (このIDを非表示/違反報告)
薙(nagi) - 好き過ぎて辛い、なんかもう…お幸せにヽ(;▽;)ノ (2019年3月15日 22時) (レス) id: 43e3ad1e0e (このIDを非表示/違反報告)
イムさん - う、うわぁぁぁぁぁあん!!!泣 か、感動しましったっ!!!面白かったですーー!!!二人共お幸せにっ~~!!!!グルさんもいい人と会えますようにっ!!!……いやもうこれ、とんちが女になってグルさんととんちと愛し合えばよくね??gr「やめろ」tn「やめて」あっはい…さーせん (2019年1月27日 19時) (レス) id: e7f7ec6ca4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ