another. - z ページ29
「とりあえず、逃げよか。」
そう言い俺は名前も知らない少女の手を握った。何やら周りの野次は俺たちの事を勘違いしているみたいだけど決して悪い気分だはなく、むしろ嬉しい位な自分に動揺していた。初対面の人にこんな感情を持ったことない。今まで出会ってきた女にも、男にも、誰にもだ。
誰にも持ったことがない、こんなに胸がドキドキしてしまう感情の名前を俺は知っていた。
あまり人が来ない中庭につき、沈黙が流れる。
顔を見せるのがなぜだか恥ずかしくなっていつの間にか外れていたフードを彼女がひとらんらんの作った庭をチラリとみている間に素早く直す。
「…ごめん。なんか俺どうかしてたと思うわ。自分で言うのもなんやけど、無意識なんかな、公共の面前で知らん人にこんなこと言う人ちゃうし。」
俺は素直に謝った。でも、言ったことに後悔しているかと言われたらそれはそれでまた別の話だが。
「それを言うなら私も初対面の人にあんなことふっかけるなんておかしいし、そもそも私が先に言ったことだし…ごめんなさい。」
彼女は頭を深く下げた。肩にいる小鳥もピピッと同調するように鳴いて頭を下げていた。なんさろう。この小鳥もどこかで会ったことあるような気がした。
何はともあれ、彼女にばかり謝らせる訳にはいかない。
俺は彼女に近づき、しゃがむ。
彼女の顔を覗き見ると、彼女の綺麗な瞳から今にもこぼれそうな涙がたまってそれを出さまいと必死に抑えていた。
そんな彼女を安心させるように、
「あんただって無意識なんやろ?
お互い様やからそんなに謝らんといて。」
二コリ、と笑いかけた。
「あ、ありがとう。」
彼女はぎこちない笑顔で笑った。それもとてもかわいいと思う程俺は彼女に重症だった。
俺は彼女に初対面ながら恋をしてしまったのだ。
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しらす - めっちゃ感動しました!!ありがとうございます (2019年4月27日 23時) (レス) id: 3e07d4634e (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - 素晴らしい作品を。。ありがとうございました。。。 (2019年3月24日 21時) (レス) id: 0b596b15a5 (このIDを非表示/違反報告)
アルバ|˙??˙))(プロフ) - 感動しましたっ…! (2019年3月18日 20時) (レス) id: c177f1386f (このIDを非表示/違反報告)
薙(nagi) - 好き過ぎて辛い、なんかもう…お幸せにヽ(;▽;)ノ (2019年3月15日 22時) (レス) id: 43e3ad1e0e (このIDを非表示/違反報告)
イムさん - う、うわぁぁぁぁぁあん!!!泣 か、感動しましったっ!!!面白かったですーー!!!二人共お幸せにっ~~!!!!グルさんもいい人と会えますようにっ!!!……いやもうこれ、とんちが女になってグルさんととんちと愛し合えばよくね??gr「やめろ」tn「やめて」あっはい…さーせん (2019年1月27日 19時) (レス) id: e7f7ec6ca4 (このIDを非表示/違反報告)
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