22Love ページ22
研磨side
パサっと暗闇に音がした
隣を見ればAがいない
その奥をみれば
紙を見ながら立ち尽くすA
顔が見えず
上半身を起こしAと、、名前を呼べば
ビクッと肩を揺らした
そばに行き肩を抱き寄せれば震えて
今にも零れ落ちそうな涙
震える口から
口パクで呼ばれた
「……けんまッ……」
研「……おいで。」
ギュッと抱き寄せれば小さい身体が震えていた
研「……大丈夫だよ。心配いらない。
寝るのは病気じゃないよ。
大丈夫……皆いるから。
迷惑なんかじゃないよ……ちゃんと支えるから。
倒れるなら倒れる前に座ればいい。
周りが支えればいい。
寝てない時にやれる事をすればいい。
……何も心配要らないよ。
だから頼って。
みんなAが必要なんだよ。
不安なら沢山ぶつけて、全て話して。
絶対隣にいるから……」
一語一句大切に紡いだら
Aはボロボロ泣いていた
腰に回された手は俺のパジャマをギュッと握りしめていた
ギュ〜っときつく抱きしめ撫でれば
しゃくりあげ泣くA
そのしゃくりあげすら口からは
空気が激しく出るのみだ
神様。
居るなら
どうかこの子を笑顔にさせてあげてください
いるか分からない神に祈ったのは初めてだった
しばらくして寝息が聞こえ抱き上げまた布団に寝かせた
泣き顔を見るたび
Aの最後泣き叫んだ日を思い出し
チクチク痛む胸は未だに慣れない
Aの母がAを捨てて行った日
二度と戻らないと言った日
縋り付く11歳の冬
雪がチラチラ降り寒さでかじかんだ手を
クロと温めながら
そばに居ると誓った日
ずっとずっと泣いていた
あの日以来初めてみた泣き顔
そしてそれから毎日泣いている
まるで蓋が外れたように
それは1人でいつも泣いていて
今こんなに泣いたのはきっと
コントロールすら出来ないくらい蓄積された涙だろう
ギュッと抱きしめ朝まで僕は髪を撫でていた
あー、、
妹じゃない
僕が護ろう
そう思った
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作者名:椎名りら | 作成日時:2018年3月13日 4時