志麻ルート8 ベッド ページ48
あーあー、これでもう先輩に手ぇ出せんやーん!
とあっけらかんとした様子で坂田君は言う。
そんな彼を、志麻さんは睨みつけていた。
「…どういうつもりや、合併なんて」
「さぁ?生憎僕は下っ端なもんで、なーんにも知らんなぁ」
芝居がかった仕草でわからない、ということをアピールするように首を傾げる坂田君に、志麻さんは小さく舌を打った。
そして、更に視線を鋭くして坂田君を睨みつける。
「それにお前…
何お嬢の身体に触っとんねん!!
いいかぁ!金輪際そのきったねぇ手でお嬢の柔肌に触れてくれるなよ、もしも指の一本でも触れようものなら脳天ぶち抜いたるからな!?」
「え、なんか合併前より扱い酷くない?」
志麻さんが変態を発揮したことにより、場の空気は一気に和らいだ。
そしてこの後は各々授業やら見張りやら元の位置に戻り、放課後になればそれぞれの自宅に帰った。
それにしても、唐突の合併なんて、怪しすぎる。
勿論それは志麻さん、そしてその情報を聞いたセンラ先生も思っていることで、今日は皆難しい顔をしていた。
というか、何故それをうちの組の人も許したんだろう。会議にはそれ相応の上の立場の人が行く…よね、流石に。
前もお父さんは私を囮に使ったし、今回も相手にわざと隙を見せて…とか考えてるのかな。
なんて考えていたら、ベッドの中に入っても中々眠れなかった。
一つ大きな息を吐き、寝返りをうつ。
…駄目だ、何か眠れん。
水でも飲みに行こうかな、と思ったその時、私の部屋のドアが開いた。
何を思ったのか私は、反射的に狸寝入りの形に入る。
目を閉じていると、聞こえてくるのは小さな足音。
どうやら、私の部屋に入ってきた人物…(二人暮らしなので言わずもがな志麻さんである)は私のベッドのすぐ横にゆっくり近づいて来ているようだった。
その音が止まると代わりに聞こえてきたのは。
「…起きとるのはわかっとりますよ?お嬢」
優しい、囁き声。
それが、耳元で聞こえるもんだからびっくりして小さな悲鳴をあげてしまう。
すると志麻さんは驚かしてしまってすみません、と言いながら、私の反応に少し悲しがっていた。
「どうしたんですか?こんな時間に」
「いやぁ、そりゃ勿論」
にっこりと爽やかに笑ったかと思うと、聞こえてくるぎしりというベッドの軋む音。
目の前に見えるのは部屋の仄暗い照明に照らされている彼の顔。
そして、ゆっくりとその口は開かれた。
「夜這い」
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雨上がりのcrew(プロフ) - お体に気を付けて更新頑張ってください−!! (2019年8月6日 18時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 彩葉さん» センラーさんにそう言っていただけて、嬉しい限りです!応援に応えられるよう頑張ります、コメントありがとうございました! (2019年5月1日 13時) (レス) id: 188fe56108 (このIDを非表示/違反報告)
彩葉 - 私の推しセンラさんなんですけど、センラ先生最俺にも出ててマジで好きです!引退されるのはとても寂しいですが、最後まで応援させていただきます! (2019年5月1日 12時) (レス) id: ca54fe217e (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 浪音さん» 大変おまたせしました!今の所は引退を考えていますが、寂しいと言っていただけるととても嬉しくも思います。ゆっくりにはなりますが、これからも読んでいただけるならば、頑張って更新します!コメントありがとうございました! (2019年4月11日 17時) (レス) id: 188fe56108 (このIDを非表示/違反報告)
浪音 - 羽飛さんこれ完結したら引退しちゃうんですか...( ´-`)どうでも良い話ですが防音シェアハウスにて暴走中の時から応援してたので少し寂しいです。残りの更新頑張ってください!!応援してます!!! (2019年3月28日 20時) (レス) id: a925fc985a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:羽飛 | 作成日時:2019年1月23日 17時