志麻ルート3 忠告 ページ43
「でも、これからは気ぃつけとき?
志麻君がいつ狼になるかわからないんですから」
「志麻さんが私に何かするだなんて、絶対に無いですよ!」
いや乙女ゲームだから無きゃ困るんだけど。
でもそうじゃないというか、まだそういう段階じゃないというか、志麻さんは私のことをそういう風に見てないというか。
そんな感じで、頭の中でぐるぐると考えていると、センラ先生がふぅ、と息をつく。
「志麻君も大変やなぁ…。
まぁ忠告はしたからね、はよ気付きなさいよ?
じゃないと」
先生が私の顎をくいっと持ち上げ、耳元に唇を近付けて言う。
吐息がかかって、変にくすぐったかった。
「センラもそこまで人が良くないんで、いつまでも待ってられませんからね?」
じゃあまたなー、と廊下の奥へ姿を消していく先生。
気付くって、何に。そんなことを思いながら、くすぐったかった耳を撫でた。
教室に入り席につくと、目の前にうらた君が立ちはだかった。
そしてとてもローテンションで口を開く。
「…おはよう」
「お、おはよう…えと、どうしたの?」
「どうしたもこうしたもねぇ。
前のあれ、まだ説明されてねぇんだけど」
言われて思い出す。
そう言えば、坂田君との保健室のやり取りを見られて、助けられて、後で話を聞かせろと言われていた。
なんと答えたものか。
私が何も言えなくなっていると、うらた君は察したように一つ溜息をついた。
「まぁ言えないことなら無理して言わなくていいけど。
まぁ、何か困ったらいつでも呼べよ。できることなら何でもしてやっから」
と、笑ってくれた彼の笑顔が眩しくて。
ありがとう、と返した。
そしてふと思う。彼に坂田君のことを話したら、どう思うのか、と。
流石にそれを試すことはできないが、その代わりに一つ質問と言う名の協力をしてもらうことにした。
「あのさ、そう言えば今日、坂田君と会った?」
「おう、いつも通りの時間に会ったぞ。
…て、何だ何だ、お前ら似た者同士だなぁ」
「似た者同士?」
首を傾げて聞くと、おう、と彼は頷いてどこか誇らしげに、嬉しそうに言う。
「坂田も会って早々同じこと聞いてきたんだよ。先輩と会ったー?って」
「そっ…か」
登校の時間は変えていない。
そしてあちらも当然のことながらこちらを探っている。
その中間に何も知らないうらた君が居て、なんだか苦しい気持ちになつた。
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雨上がりのcrew(プロフ) - お体に気を付けて更新頑張ってください−!! (2019年8月6日 18時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 彩葉さん» センラーさんにそう言っていただけて、嬉しい限りです!応援に応えられるよう頑張ります、コメントありがとうございました! (2019年5月1日 13時) (レス) id: 188fe56108 (このIDを非表示/違反報告)
彩葉 - 私の推しセンラさんなんですけど、センラ先生最俺にも出ててマジで好きです!引退されるのはとても寂しいですが、最後まで応援させていただきます! (2019年5月1日 12時) (レス) id: ca54fe217e (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 浪音さん» 大変おまたせしました!今の所は引退を考えていますが、寂しいと言っていただけるととても嬉しくも思います。ゆっくりにはなりますが、これからも読んでいただけるならば、頑張って更新します!コメントありがとうございました! (2019年4月11日 17時) (レス) id: 188fe56108 (このIDを非表示/違反報告)
浪音 - 羽飛さんこれ完結したら引退しちゃうんですか...( ´-`)どうでも良い話ですが防音シェアハウスにて暴走中の時から応援してたので少し寂しいです。残りの更新頑張ってください!!応援してます!!! (2019年3月28日 20時) (レス) id: a925fc985a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:羽飛 | 作成日時:2019年1月23日 17時