うらたルート8 ERROR ページ30
「うらた君…
きゃっ！？」
「っ、どうし」
バタン。うらた君の声を、分厚いドアが塞いでしまった。
唐突に私は手首を後ろに引っ張られ、屋上のドアを閉められたのだ。
そして、横の壁にドンっと押さえつけられる。
後頭部と背中の痛みに思わず瞑ってしまった目を開くと、そこには随分前に手紙の件でお世話になった女子三人組がいた。
「あーあ、やっちゃったぁ」
「バッドエンド、ばっどえんど！」
「貴女にも無理だった、変えられなかった」
三人は感情の無い瞳で、ケラケラと笑っている。
ばっどえんど？
…もう、私はうらた君を攻略できないの？
私は、現実に、帰れないの？
汗がじわりと、額を濡らす。
「もーうらたはこのドアを開けないよぉ？」
「一生屋上、いっしょうおくじょう！」
「彼をここから救い出した者は、誰一人としていない」
言ってる意味が、わからない。
これまで感情豊かに見えていたこの三人は、今はゲームの中のプログラムのように不気味な笑顔を変えることはない。
「私ぃ、『精々、彼に失望されないように気を付けてね？』って、言ったじゃなぁい」
「しつ、ぼう…？」
「うらたの希望は、しんじること！」
「彼が本当に、心から貴女を信じられるようになるまで、貴女は彼を不安にさせてはならなかった」
私が、彼を、不安にさせた？
失望、させた？
もう、もう、何もかも、終わって…。
「さぁ、貴女もこっちに…」
後ろの方に控えていた女子が、私へと手を伸ばす。
その手が、私の頭に触れそうになったその時。
「Aっ！！」
彼がドアを開けた。
「うらた君！？どう、して」
「友達をほっとけるわけ、ないだろ」
うらた君は優しく微笑み、私に近寄る。
いつの間にか女子達は私から離れていて、立ち尽くしている私を、彼はふわっと抱き寄せた。
それを見ていた女子達が一斉に怒鳴る。
「なっ…何よそれ！」
「そうようらた！何でその子なのよ！？」
「私達の方がうらたのことを好きで、」
「…黙っててくれ」
うらた君が低い声で言うと、彼女達は渋々口を閉じ、階段を降りていった。
そんな彼女達の顔には先程までの不気味さが無くなっており、いつものように感情が確かにあった。
これは、何…？
バッドエンドを免れたの…？
展開に付いていけない私は、暖かい腕の中で目を閉じた。
【ERROR発生 ―一部記憶を切除し続行とする―】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 619人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雨上がりのcrew(プロフ) - お体に気を付けて更新頑張ってください−！！ (2019年8月6日 18時) (
レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 彩葉さん» センラーさんにそう言っていただけて、嬉しい限りです！応援に応えられるよう頑張ります、コメントありがとうございました！ (2019年5月1日 13時) (レス) id: 188fe56108 (このIDを非表示/違反報告)
彩葉 - 私の推しセンラさんなんですけど、センラ先生最俺にも出ててマジで好きです！引退されるのはとても寂しいですが、最後まで応援させていただきます！ (2019年5月1日 12時) (レス) id: ca54fe217e (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 浪音さん» 大変おまたせしました！今の所は引退を考えていますが、寂しいと言っていただけるととても嬉しくも思います。ゆっくりにはなりますが、これからも読んでいただけるならば、頑張って更新します！コメントありがとうございました！ (2019年4月11日 17時) (レス) id: 188fe56108 (このIDを非表示/違反報告)
浪音 - 羽飛さんこれ完結したら引退しちゃうんですか...( ´-｀)どうでも良い話ですが防音シェアハウスにて暴走中の時から応援してたので少し寂しいです。残りの更新頑張ってください！！応援してます！！！ (2019年3月28日 20時) (レス) id: a925fc985a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：羽飛 | 作成日時：2019年1月23日 17時
