うらたルート7 ドア越し ページ29
「情報もお金も身体も。申し訳ありませんが貴方に支払える物はありません」
できるだけ、情報屋を睨むように。
目元に力を込めて緑色の瞳を見た。
すると、彼は大きな目を少し細め、壁についていた手をするりと私の頬へ滑らせる。
その冷たい手の感触で、背筋に悪寒が走った。
「…そう。まぁいいですよ。俺の仕事はもう達成したので」
彼はちらりと視線を上に動かし、そう言う。
そして私からすっと離れると、くるりと私に背を向けて歩き出す。そして、顔だけをこちらに向けて薄く笑った。
「またね、A先輩」
そう言葉を残して去っていく情報屋。
緊張して固くなっていた身体が段々と緩んでくる中ぼーっとその背中を見送っていると、上からガチャンと音がした。
見上げてもそこには何も無い。
…さっきの音は、屋上のドアが閉まる音だ。
うらた君が、上から見ていたんだ。
『…なぁ、お前は、違うの？』
出会ったばかりの頃に見た、うらた君の悲しい瞳が脳裏に過る。
今の場面を見て、彼はどう思っただろうか。
何も言わずに屋上へ行ってしまった彼は、今どんな顔をしているだろうか。
気付けば私は階段を駆け上がっていて、ドアノブに手をかけていた。
が、押してもそれが開かれることはない。
まるで、何かに押さえつけられているかのように。
「うらっ…！」
声を張り上げて彼を呼ぼうとするが、すぐに出かけた言葉を飲み込む。あまり大きな声を出すと廊下に響いて近くの教室に聞こえてしまうかもしれない。付き合っていることを隠している身としてはそれは最善ではないだろう。
だから。
(負けない)
息を深く吸い、力を貯めて一気に押す。
すると、それは予想外の力だったのだろう、途中までドアは勢い良く開いたが、直ぐにうらた君に押さえつけられる。
だが、開けばこっちのもの。
閉じられないように力を込め続けた。
そして、ドアを隔ててすぐ側に居るうらた君に話しかけようとするが、彼の方が早く口を開いた。
「ごめん、今は顔見れない」
「…うらた君が謝ることはないよ。
偽物の関係とは言え、うらた君を裏切るようなことしてごめん」
「違う。そうじゃない。
声は聞こえなかったから何の話してたかは知らねぇけど、お前が望んでないことをされてた事なんて見ればわかる。
わかってるのに、Aの顔を見れなくなっちゃったんだ。お前が俺を裏切ったんじゃない。
俺が信用できなくなって…俺がお前を裏切ったんだ」
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雨上がりのcrew(プロフ) - お体に気を付けて更新頑張ってください−！！ (2019年8月6日 18時) (
レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 彩葉さん» センラーさんにそう言っていただけて、嬉しい限りです！応援に応えられるよう頑張ります、コメントありがとうございました！ (2019年5月1日 13時) (レス) id: 188fe56108 (このIDを非表示/違反報告)
彩葉 - 私の推しセンラさんなんですけど、センラ先生最俺にも出ててマジで好きです！引退されるのはとても寂しいですが、最後まで応援させていただきます！ (2019年5月1日 12時) (レス) id: ca54fe217e (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 浪音さん» 大変おまたせしました！今の所は引退を考えていますが、寂しいと言っていただけるととても嬉しくも思います。ゆっくりにはなりますが、これからも読んでいただけるならば、頑張って更新します！コメントありがとうございました！ (2019年4月11日 17時) (レス) id: 188fe56108 (このIDを非表示/違反報告)
浪音 - 羽飛さんこれ完結したら引退しちゃうんですか...( ´-｀)どうでも良い話ですが防音シェアハウスにて暴走中の時から応援してたので少し寂しいです。残りの更新頑張ってください！！応援してます！！！ (2019年3月28日 20時) (レス) id: a925fc985a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羽飛 | 作成日時：2019年1月23日 17時
