うらたルート1 変わらぬ登校 ページ23
翌日。
「…おはよう、先輩」
「…おはよう、坂田君」
彼と、いつもと同じ場所で会う。
いや、正しくはいつもと同じ場所に彼は立っていた、だろうか。
彼の纏う雰囲気は何処か重たく感じた。
感じたのだが、
「あ、そうや先輩!今夜Nステに先輩の好きなグループ出るんやって!」
直ぐに彼は、後輩の坂田君になる。
どうやら少なくとも学校では、これまでしてきたように後輩の坂田君で私の前に居るらしい。
志麻さんから貰った、袖に忍ばせているボールペンに模した緊急スイッチたるものに掛けていた指を離す。
こちらの会話が聞こえない位置にいる志麻さんへの合図になるこれ。私が身の危険を感じた時に押すことで、彼のスマホが振動し彼に危険を知らせることができるのだ。
因みに今手に掛けてたのは紫色で、もう一本センラ先生のスマホへ伝える黄色いものもある。
それを、彼はわかっているのか。
赤い瞳が、私の右手を捉えていた。ような、気がする。
暫く歩くとうらた君の後ろ姿が見えて、坂田君が後ろから勢い良く飛びかかった。
「うわっ…て、坂田、と、A」
「なぁにぃうらさーん」
「なぁにぃうらたくーん」
「…別に。ほら、さっさと行くぞ。
坂田はまず俺の肩に体重かけるな。重いんだよこのハム」
「んなっ!ハムやないですぅ!」
何も無かったかのように、いつも通りに登校をした。
しかし、この時のうらた君の視線は確かに疑わしい物を見るようなじとりとしたもので、いつも通りの筈のじゃれ合いは何処かぎこちなく感じた。
坂田君と別れ、うらた君と二人で教室に入る。
のだが、ドアの前に来たときにうらた君が私の耳元で、ぽそりと呟いた。
「昼休み、端の空き教室ね」
端の空き教室、そこは物置にされていて基本的にら誰も来ない場所である。
恐らく、昨日の話を聞こうとしているのだろう。
彼は私の返事を聞くことも無く、ドアを開けスタスタと教室に入り自分の席に座った。
私もクラスの友達な挨拶をしながら席につく。
この時、一番後ろの席のうらた君がどんな顔でどんなことを悩んでたのかは、私には知らぬことであった。
【おめでとうございます。
うらたぬきルートに入りました。
帰りたいのであれば、HappyEndを迎え現実に帰れるよう励む事。】
今朝、机に置かれていた手紙の内容である。
皆が遠くでわいわいと昼食を楽しむ中、静かな空き教室で私は息を吐いた。
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雨上がりのcrew(プロフ) - お体に気を付けて更新頑張ってください−!! (2019年8月6日 18時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 彩葉さん» センラーさんにそう言っていただけて、嬉しい限りです!応援に応えられるよう頑張ります、コメントありがとうございました! (2019年5月1日 13時) (レス) id: 188fe56108 (このIDを非表示/違反報告)
彩葉 - 私の推しセンラさんなんですけど、センラ先生最俺にも出ててマジで好きです!引退されるのはとても寂しいですが、最後まで応援させていただきます! (2019年5月1日 12時) (レス) id: ca54fe217e (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 浪音さん» 大変おまたせしました!今の所は引退を考えていますが、寂しいと言っていただけるととても嬉しくも思います。ゆっくりにはなりますが、これからも読んでいただけるならば、頑張って更新します!コメントありがとうございました! (2019年4月11日 17時) (レス) id: 188fe56108 (このIDを非表示/違反報告)
浪音 - 羽飛さんこれ完結したら引退しちゃうんですか...( ´-`)どうでも良い話ですが防音シェアハウスにて暴走中の時から応援してたので少し寂しいです。残りの更新頑張ってください!!応援してます!!! (2019年3月28日 20時) (レス) id: a925fc985a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:羽飛 | 作成日時:2019年1月23日 17時