共通ルート18 本当の ページ19
彼は目を細め、楽しそうに私の耳元で囁いた。
「それに、あいつのだぁいすきなAちゃんを、あいつが普段生活しとる上に『何かあったら真っ先にここに来ること』とか言っとった場所で、ぐっちゃぐちゃにして泣かしたるんやで?
…興奮するやん」
ぞわり、とする。
この追い詰められている状況と、狂った性癖への恐怖に、背中がビリビリとした。
しかも、保健室で二人で話した内容を知ってるなんて。盗み聞き、されてたんだ。
この人は、何処まで私を知っているんだろう。
そんな不安を覆い隠して彼を睨むと、彼は普段のように人懐こいとは微塵も感じられない笑顔で笑う。
「いいね、その顔。
いつまでその顔が持つかなぁ?」
彼は片手で私の両腕を頭上の壁に縫い付け、空いているもう片方の手で私のブレザーのボタンを、次にブラウスのボタンを一つずつ、ゆっくりと外す。
胸元辺りまで開放的になったところで、彼が手を私の太ももに這わせた。
「ん、んん…」
「これで感じとんの?
へーぇ、感度良いんや」
私が漏らした声に気を良くしたのか、彼は手で太ももを艶かしく上になぞり、首には舌を這わせた。
こういうところで変に、これはゲームだ、という感情が私の脳内を支配する。
だからだろう。私はこれに快感を得てしまっていた。
生暖かく湿った舌に、首が熱くなる。
やがてその熱は私の顔を、頭の中まで支配していく。
「…ふぁっ、ぁ、」
「…みっともないなぁ。
ちゃんとしてよ、先輩」
先輩。そう呼ばれた時、熱く溶かされていた脳が冷めていく。
確かにここはゲームで、ここにいる私は本当の私ではないけれど。それでも、今の私は私なんだ。
しゃんとしないと。
こんな私を、助けてくれる人が。涙を流してくれる人が。いるのだから。
なんて、よく意味のわからないことを思いながら、ゆっくりと息を吐いた。
「坂田君」
「なぁに?」
「やりたくないならやらなくていいよ」
「…は?」
私の言うことが理解できない、と言うふうに、眉を潜めて首を傾げる坂田君。
先程まで反応していた筈の手や舌に反応しなくなったのを感じ取ったのか、彼は動きを止め私を見た。
「だって、『後輩の坂田君』と『五十嵐組の坂田君』、全然違うんだもん。
どっちかは、嘘なんでしょ。
そしたら、無理して自分を偽らなくていいよ。
本当の君を知りたい」
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雨上がりのcrew(プロフ) - お体に気を付けて更新頑張ってください−!! (2019年8月6日 18時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 彩葉さん» センラーさんにそう言っていただけて、嬉しい限りです!応援に応えられるよう頑張ります、コメントありがとうございました! (2019年5月1日 13時) (レス) id: 188fe56108 (このIDを非表示/違反報告)
彩葉 - 私の推しセンラさんなんですけど、センラ先生最俺にも出ててマジで好きです!引退されるのはとても寂しいですが、最後まで応援させていただきます! (2019年5月1日 12時) (レス) id: ca54fe217e (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 浪音さん» 大変おまたせしました!今の所は引退を考えていますが、寂しいと言っていただけるととても嬉しくも思います。ゆっくりにはなりますが、これからも読んでいただけるならば、頑張って更新します!コメントありがとうございました! (2019年4月11日 17時) (レス) id: 188fe56108 (このIDを非表示/違反報告)
浪音 - 羽飛さんこれ完結したら引退しちゃうんですか...( ´-`)どうでも良い話ですが防音シェアハウスにて暴走中の時から応援してたので少し寂しいです。残りの更新頑張ってください!!応援してます!!! (2019年3月28日 20時) (レス) id: a925fc985a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:羽飛 | 作成日時:2019年1月23日 17時