共通ルート16 仕掛け ページ17
「先輩、先日はほんまにごめんなさい。
無事で良かったです」
遊園地の出来事から日が経ち、私は坂田君に呼ばれ放課後の屋上に居た。
あの後は志麻さんが付き添いの元、うらた君と坂田君に合流して帰った。私は迷子だったことして。
二人と対面する頃には志麻さんはお仕事モード…と言っても私への過保護は相変わらずでうらた君がやたら面白そうに彼と私を見比べていたが、涙の跡は無く、本当に頼れる姿がそこにあったのだった。
「いいんだよ、私がふらふらしてたのが悪いんだし」
「いえ、先輩を一人にしたのは僕やし…。
良かったらお詫びさせてよ。…うちに、来てくれる?」
彼は甘えるように言う。
その吸い込まれそうな瞳には、強請る子供のような輝きの億に、渦巻いた何かを感じた。
「いいの?行きたい」
「ほんま?じゃあ今から行こうや!」
坂田君は明るい笑顔で私の腕を取り手を絡めようとした。したのだが。
「させるわけないやろ。阿呆が」
後ろから坂田君の首に腕を回し、空いている手で坂田君の手を掴む彼を拘束する人が居た。
いつの間に入ってきたのか。白衣をはためかせる彼の耳元ではピアスが揺れている。
まるで、私を野球ボールから守ってくれた時のように。
正直、私にはついていけなかった。
どうして、この人が…センラ先生が坂田君を拘束しているのか。
「…何するんですか、せーんせ」
「誤魔化しが効くと思っとるん?」
「まさか。あーあ、やっぱりあんたそっちの人か。野球ボール素手で掴んだ時に怪しすぎると思った。
でも、あん志麻とかいう若頭と対峙すんのは厳しいからなぁ」
二人の会話が、わからない。
二人を見比べていると、坂田君が鼻で笑った。
それに合わせて、センラ先生の腕が坂田君を更に締め上げるが、それを気にも止めず続けて話す坂田君。
「先輩、まだ気付いてないん?
随分抜けとると思っとったけど、こりゃ重症やな。ま、その方がこちらとしてはやりやすけど、ね!」
「ふっ」
坂田君が器用に身体を捻り、私には早すぎてどうやったかよくわからなかったが、センラ先生の腕から脱出していた。
その際に仕掛けた坂田君の肘を無駄なく躱したセンラ先生は私を庇うように、私を背にして身構える。
「…志麻君。五十嵐組が仕掛けて来ました。
学校に増援を…志麻君?」
「志麻…可愛くまーしぃとでも呼ぼうかなぁ。
まーしぃは今お取り込み中やから、ここには来れへんで?」
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雨上がりのcrew(プロフ) - お体に気を付けて更新頑張ってください−!! (2019年8月6日 18時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 彩葉さん» センラーさんにそう言っていただけて、嬉しい限りです!応援に応えられるよう頑張ります、コメントありがとうございました! (2019年5月1日 13時) (レス) id: 188fe56108 (このIDを非表示/違反報告)
彩葉 - 私の推しセンラさんなんですけど、センラ先生最俺にも出ててマジで好きです!引退されるのはとても寂しいですが、最後まで応援させていただきます! (2019年5月1日 12時) (レス) id: ca54fe217e (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 浪音さん» 大変おまたせしました!今の所は引退を考えていますが、寂しいと言っていただけるととても嬉しくも思います。ゆっくりにはなりますが、これからも読んでいただけるならば、頑張って更新します!コメントありがとうございました! (2019年4月11日 17時) (レス) id: 188fe56108 (このIDを非表示/違反報告)
浪音 - 羽飛さんこれ完結したら引退しちゃうんですか...( ´-`)どうでも良い話ですが防音シェアハウスにて暴走中の時から応援してたので少し寂しいです。残りの更新頑張ってください!!応援してます!!! (2019年3月28日 20時) (レス) id: a925fc985a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:羽飛 | 作成日時:2019年1月23日 17時