ある日、狼は羊を拾いました。3

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side…A




宏「じゃ、いつも通り行ってきまぁす」


あ「はい！気を付けてくださいね」


…





あ「………はぁ…」




玄関に鍵を掛けた途端、溜息をついた私。


原因は…………昨日にある。



.








大「ご、ごめん冗談だって！」


あ「それにしてもヒドイです！」




つん、と顔を逸らした私に、大貴君が必死に弁解を試みていた………昨日の夜。




……別に本気で怒っていたわけじゃないけれど。


誰かをからかって遊ぶのは人狼ならでは、なんていうのは言い訳でしか無いけれど、言ってしまえば…………楽しんでいた。







大「………………………。」





突然の事だ。彼が黙り込んだのは。


………………やり過ぎた……？



大貴君の様子を伺おうと、逸らしていた目線だけを戻そうとした時。








……







あ「！…………？」



顎の下に冷たい手が触れて、身体が小さく跳ねた。

戻した視線が捉えたのは、それが大貴君のものであるという決定的な瞬間。




そして、彼の冷たい手は素早く私の首を滑り…………顔を逸らした方向と反対側の、耳の下まできた。






あ「！、？」




ここからじゃ見えない。だけど、今顔を戻せば彼の顔がすぐそこにあるのは分かっていた。


大貴君の柔らかい呼吸が彼の手がある方の耳を撫でて………








大「…………………………ごめん、な？」








とにかく、擽ったかった。


それと同時に、
彼の聞いたことのない潤った声に、………その触れそうな程近い大貴君に、身体が反応した。









.









そして元に戻った大貴君との間には、
なんともいえない気まずさがその場の空気に質量を与えて………






もう、どうしたらいいかが分からなくて、逃げるように自室へ行った。

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