Destiny 4

story16-3 ページ4

圭人side



珍しく雄也兄と慧兄が言い合いになって、ついには慧兄が過呼吸に。


宏 「慧、俺の真似して？ゆっくり息吸って…」


雄 「……。」


光 「ここは俺らに任せて？雄也も疲れてるでしょ。」


雄 「…ごめん、頭冷やしてくるわ。」


雄也兄が部屋に戻ってしばらくすると、やっと呼吸が落ち着いてきた。


宏 「慧、この前のテスト一位だったんだって？すごいじゃん。」


慧兄は昔から中学も高校もいつもテストや模試の順位は上位。俺にもその血が流れてるはずなんだけど、慧兄は兄弟の中でも別格。


宏 「ずっと勉強してたんでしょ？最近眠れてなかったんじゃない？」


慧 「……。」


宏 「これだけ頑張ってるんだもん。慧の努力は誰にも負けないくらいだよ。
でもね、限度ってものも学ばないとね？ここ最近の慧の生活がどれだけ危険なものか、雄也がこれだけ怒った理由も医学の道を選んだ慧なら分かるよね。」


今の慧兄は軽い拒食症の段階まできてる。それに疲労も溜まって酷い貧血に。

宏太の優しい言葉を聞いて、慧兄の目からは一筋の涙が。


慧 「…俺、天才じゃないし…やらないと成績だって落ちていく……みんなと一緒なのに、なんで？
もう、どうしたらいいのか分かんない……グスッ」


慧兄が自分のことで涙を流す姿は初めてみた。
こんなに優秀な人にもそれなりの苦しみはあるみたいで、流れる涙は止まらない。

少しずつ話を聞いていくとだんだんと慧兄の苦しむ理由が分かってきた。


慧 「…見返して、やりたかったの……グスッ
もっと勉強したら、楽に…なれるんじゃないかって…」


宏 「そっか…でもね？慧が頑張ってるのは兄ちゃん嬉しいけど、苦しんでるのは見たくないな。」


兄弟が何か苦しんでる時の宏兄の顔はいつも悲しい目をしてる。
誰よりも家族のことを心配してくれて、優しい言葉で和ませてくれる。

慧兄も次第に険しかった顔も和らいできた。

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