検索窓
今日:7 hit、昨日:11 hit、合計:8,363 hit

2話 ページ3

嫌だ。陣平くんのことを信じられなくなりそうな自分が気持ち悪い。早く、早くこの時間を終わらせたい。




「そっか。やっぱり、お仕事大変なんだね。」



そう言って微笑む。すると、彼は安心したような顔をした。


「朝ごはんできてるよ。一緒に食べよう?」



「あぁ。」



頭では理解している。なのに、認めることができない。受け入れることができない。





やっぱり、私は彼につくづく甘い。




_______________________________




朝食と後片付けをすませると、私は寝室のベッドに寝転がった。



何だか寂しくて、布団を抱き締める。




何だか、彼を抱き締める時に似ているときの感覚に似ている。彼の匂いに包まれるような感覚。




この、タバコの匂いが染み付いた、彼の匂いに包まれるような感覚が大好きだった。




ヤバい。泣きそうだ。




必死でおさえようとするが、鼻に抜ける陣平くんの匂いが拍車をかける。




気づいたときには、布団に小さなシミを作っていた。




馬鹿みたいだ。




彼と女性が一緒にいるのを見た訳じゃない。
彼のLINE画面を見た訳でもない。



彼が、私の知らない女性と電話をしてただけ。




なのに、何で泣いてるんだろう。



何でこんなにも不安なんだろう。



何で、彼のことを疑っているんだろう。



彼のことを考えると、涙が止めどなく溢れてくる。



そんな時、ドアのノック音が聞こえた。



泣いていることを悟られないように、慌てて声をつくる。



「陣平くん?どうしたの?」



私からの質問に、陣平くんは口ごもりながら答えた。




「や、あのさ、今日一緒に買い物とか、いかねぇ?」




いつもなら絶対に言わないであろう台詞が、私の機嫌取りのためだと理解するのに、時間はかからなかった。



なのに、そんな、不器用な機嫌取りでも、さっきのことなんてどうでも良くなるくらい嬉しくなってしまう。



「うん、行きたい!」



きっと、廊下の向こうで安堵してるんだろうな。




機嫌取りが成功したーって。



ほんとに、




「馬鹿みたいだ。」





分かりやすいご機嫌取りをしてくる陣平くんも、





そんな陣平くんのひと言で喜んじゃう私も。




きっと、陣平くんには聞こえて無かったであろう私の言葉は、私の気持ち悪い感情と一緒に、消えていった。

3話→←1話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.4/10 (36 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
106人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 松田陣平 , 恋愛   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

号哭。 - 桜神さん» コメントありがとうございます。これからも更新は不定期になると思いますが、よろしくお願いします。 (3月3日 8時) (レス) id: 07f289d1de (このIDを非表示/違反報告)
桜神 - 続きがめっちゃ気になります。更新待ってます (2月2日 12時) (レス) @page11 id: 8b7eb4bb5c (このIDを非表示/違反報告)
号哭。 - 雪遊びさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまい申し訳ありません。 (9月26日 20時) (レス) id: 07f289d1de (このIDを非表示/違反報告)
号哭。 - このさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまい申し訳ありません。 (9月26日 20時) (レス) id: 07f289d1de (このIDを非表示/違反報告)
雪遊び(プロフ) - 続き今も待ってます! (9月10日 0時) (レス) @page10 id: 52b9688ca8 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:号哭。 | 作成日時:2023年1月6日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。