君影草 (ページ30)

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『も、もしもし？？？』

「何、どうしたの。」

『ごめん、昨日からLINE見てなかったから、心配してるかなと思って…ごめんね、疲れてて忘れちゃってて…。』

「ふーん。そっか、学校とか大変だよね。」

『ねえ、けいた？何か怒ってる…？』

「うん。怒ってるけど。」

俺が何で怒ってるのか、分かってないようで、少し冷たい口調で言ってしまった。

『ご、ごめん…』

「俺がなんで怒ってると思う？」

『返信しなかった、からかな？』

「そう思うならそれでいい。」

『なんなの？ちょっとくらい、返信遅れてもしょうがないじゃんっ、』

「は？こっちは毎日毎日練習で疲れて、休める時間も少ない中でこうやってやり取りしてるのに何だよ。」

『ほんとに何なの。じゃあ連絡しなくてもいいよ。私に連絡する時間があるなら休めばいいじゃん。』

「Aのああ言ったらこう言うとこ、好きじゃない。」

言うつもりが全く無かったことまで全部発言してしまい、スマホ越しに鼻をすする音が聞こえる。

さすがにやばいと自分でもわかっていたけど、言ってしまった。

「昨日、いつきと一緒に居たよな？返信してくれない事が嫌だったんじゃなくて、男と一緒に居るのが嫌なんだよ。分かれよ。」

『わ、分かってなくてごめん、でも、もういい。ちょっと距離置こうか、』

「それがいいと思う。俺も考えるし、もう失望したくないからこれからの事良く考えて。」

あぁ、昨日よく知らない女の人とそういう事をした俺の方が罪は重いのに。

俺って最低だ。