【d!】拝啓桜の下で眠る君へ (ページ22)

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手合わせが終わった後、訓練所の片隅に腰掛け、大勢の兵士達が訓練する様子をコネシマと共に眺める。
コネシマは煙草をふかしながら、此方へふと呟いた。

コネ「お前、ここ来るまで生活どうしてたん？」

『ずっと逃げとったかなぁ。偶に街に降りて日持ちの良い食料買って、ずっと移動しとった。』

コネ「家族は？」

『……もうおらんよ。』

塞ぎ込みたくなるような暗い記憶が脳裏に鮮明に思い浮かんで、語尾が自然と震えた。コネシマはそれ以上何も聞いてこず、ただ「そうか。」と一言だけ呟いてまた、部下の兵士達に視線を戻した。

コネ「明日か、明後日辺りか？幹部内会議あると思うんやけど、多分そこでAの自己紹介やな。辛い事も、話さなあかんかもしれんから。あんま、無理せん程度にな。」

気遣いの言葉が胸に沁みた。何時ぞやに、コネシマとロボロには心が無いなんて言っていたのは誰だったか。本当に心が無いならこんな言葉出てこないと思うのだが。

コネ「……、そろそろ付き添い人くるんとちゃうか？」

『え？』

耳に神経を研ぎ澄ませば、シャオロンの悲鳴とゾムの嬉々とした笑い声が付近から聞こえる。次にドタバタとした足音も。これは、巻き込まれたくないなと思い、コネシマを見れば、トントンのとこ行けやと、アイコンタクトをされた為、大して親しくもないトントンの所へ走って向かった。