ただ、あなたが好きでした。 (ページ48)

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A｢…落ち着いた？｣

しばらく抱きしめていたら、乱れていたねるちゃんの呼吸が次第に落ち着いてきたように感じて、そっと聞いてみる。

長｢うん…ごめん。｣

あれ、なんか一瞬、顔をあげたねるちゃんが笑っているように見えた。…気のせいかな。

A｢さっきのは、その、｣

長｢すき。本当に。｣

途中で私の言葉を遮って、ねるちゃんは力強い瞳でそう言った。信じられない。だって、ねるちゃんが、私を…

A｢そっ、か…｣

長｢意外？それとも、引いた？｣

寂しそうに言うねるちゃん。違う、そういうわけじゃなくて…ただ、びっくりして。

A｢ううん、私は、ねるちゃんはゆっかーのことがすきなのかなって思ってた。よく一緒にいるとこ見てたし、初めてねるちゃんと会ったときも、2人は一緒だったから。｣

長｢あー、ゆっかーはそういうのじゃなくて。なんていうか、親友かな。｣

そうなんだ。親友…私にとって、佑唯みたいな存在ってことかな。

A｢そっか…｣

長｢返事は別にわかってるから言わんで。｣

A｢…うん、ごめん。｣

私には茜がいるから。ごめんね、ねるちゃん。

長｢でも諦めんよ。あかねんより私の方がいいって思うかもね。｣

A｢え、それってどういう…｣

全然理解できない、どういうこと？私が茜よりねるちゃんの方がいいって思うようになる？そんなの…

長｢ふふ、なんでもない。戻ろ？｣

ねるちゃんって、本当に不思議な子だと思う。

そういえば、あかねん、まだ教室にいるのかな。もう帰っちゃったかな。気になったから、私はそれ以上ねるちゃんにはなにも聞かずに教室に戻ることにした。

～

愛佳side

放課後、トイレから戻ったら、茜もAもいなくなっていた。妙な胸騒ぎがして、理佐を探す。

愛｢理佐？理佐！｣

理｢え、どうしたの愛佳。｣

愛｢茜とAどこいったの？｣

理｢Aはさっき、ねるって子に呼ばれてどっか行ったよ。茜は…わからない。｣

ねるに呼ばれて…！？
あいつ、こんなすぐに行動にうつすなんて。理佐はどこに連れて行ったかまで知ってそうにないし、私が探すしかないかな…

茜は、どこに…？トイレだったらすれ違ってるはずだから違うだろうし…え、もしかして…
恐る恐る、首を前の方の席に向ける。
やっぱり。友香がいない。ねるがAといるってことは、友香は今…

2人が一斉に動き出したってことか。
ねるはAを、友香は茜を連れ出して…！

私はすぐ教室を飛び出した。