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茜「A!そろそろだよ!花火!」
私の隣でたのしそうにはしゃぐ茜。
観覧車から降りた私達はあまり人がいないところで見ようということで遊園地の奥の方にある堤防に来た。
時刻は7時50分。あと10分ほどで花火があがる。
告白しようと決めたはいいけど、花火があがってからどれくらいのタイミングで伝えたらいいんだろう。緊張して声が出るかもわからない。少し不安…
でも、今伝えないと後悔する。
結果がどうなろうと、伝えようと決めたんだから伝えるんだ私。
もう秋。夜は少し肌寒い。冷たい風が頬を撫でる。
綺麗な夜空に、大きな花が咲いた。
茜「わぁ!綺麗!!」
空を見上げてたのしそうにしている茜の横顔を眺める。これからも隣で見ていられたら幸せだな、なんて。
私も空を見上げる。キラキラと輝いては消えていく花火。その明るさに、がんばれと応援されている気分になった。
もっと緊張するって思っていたけど、意外にも私は冷静だった。
茜「写真、撮っておこう。」
そう言ってスマホで花火の写真を撮る茜。
私も思い出として残そうかなぁ、、
じゃなくて。告白、しなきゃ。
花火もそろそろクライマックス。色とりどりだったのが、金色に変わっていく。これが終わりの合図だった。言うなら今。そう思った。
A「ねぇ、茜。」
少しだけ、声が震える。
茜「なぁに?」
可愛らしく首を傾げて私を見る。
A「私ね、」
茜「うん?」
どうしよう、フラれちゃうかな、引かれちゃうかな、もう隣にいれなくなっちゃうのかな。
いざ言おうってときに、ネガティブなことばかりが頭に浮かんで、私の決意の邪魔をする。
せっかく伝えられそうなのに。
言葉に詰まっていると、心配そうな表情で見られた。
違う、そんな顔させたいわけじゃない。
全然うまくいかない、喉まできてる言葉がなかなか出ていかない。くるしくて涙が出そう。
負けるな。
茜が、手をぎゅっと握ってくれた。少しだけ、体の力が抜けた。大丈夫、と言われているような気がした。
A「わ、たし、ね、茜のことが、」
すき
その言葉と共に、一番大きな花火があがった。
最後の花火。私たちを照らしてくれる大きな花。
茜の目が大きく見開かれる。
言っちゃった。顔が熱い。茜が握ってくれている手が震える。このあとなにを言われるのかが怖くて、私は目を逸らし、俯いてしまう。
あぁ、涙がこぼれ落ちそう。泣いちゃだめ、って思えば思うほど、視界がぼやけていく。
私の恋は…
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作者名:結冬 -yuto- | 作成日時:2019年1月19日 14時