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A「茜の元恋人さん、親友に戻ったって言ってたけど、まだ身近にいるの?」
そう言うと、茜は少し俯いた。え、この反応、いるってこと...?
茜「...同じクラスだよ」
ボソッと、本当に小さな声で呟いた。
え、どういうこと...同じ、クラス...?
血の気が引いたような感覚。
胸がまたぎゅっと締め付けられる。
A「同じクラスって...」
誰のことだろう、全然わからない。愛佳?いやでも、お互い恋人いないって言ってた、だから愛佳は違う。理佐...?ううん、理佐も今はてちとラブラブだ。
茜「ごめんね、誰かは、言えない。」
そりゃそうだ。まだ出会ったばかりのくせに、こんなに知っていいわけがない。
A「うん、言わないでいいよ。なんか、ごめんね、苦しいよね。」
あぁ、私にはなにもできない。自分のすきな人がこんな風に傷ついて苦しんでいても、なんて声をかければいいのかわからない。
茜「ううん、大丈夫。もう終わった恋だから。それに、新しい恋ももう始まってる。ありがとねA。わざわざ来てくれて、こんな話まで聞いてくれて。」
新しい恋、か...やっぱり茜にはすきな人がいるんだ。
A「わ、私は新しい恋応援するからね。相談にだってのるよ。もっともっと頼ってほしい」
茜「いいの...?ありがとっA!」
そう言って勢いよく抱きついてきた茜。もう...これ以上すきにさせないでよ。
私はずっと片思い。
その事実に胸が痛い。片思いというよりかは、失恋というほうが正しいのかもしれない。すきな人がいる、そう本人から聞いてしまえば、気のせいかもなんて思えなくなる。もう、思いを告げられなくなってしまった。私のことなんてきっと茜の眼中にない。
茜「よし、Aを充電!今日は学校行けなくてごめんね。色々整理したかったんだ、私の中で。Aのおかげで気持ちがだいぶ落ち着いた!明日からまた元気にがんばるから安心して。」
違う、こんなの強がり、見ればわかる。だって瞳揺らいでるよ、本当はもっと言いたいんでしょ?今すぐすきな人のこと話したいんじゃないの?
すきな人ができるってすごいことだと思う。気づいた瞬間に、その人のことばっかり考えるようになっちゃって、見るようになっちゃって。だからわかってしまう。今、こういうこと思ってるんだなとか。そのことがうれしくもあり、さみしくもある。
A「茜のすきな人がどんな人なのか、少しだけ聞いてみたい。」
聞こう。もっと胸が痛むとしても。
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作者名:結冬 -yuto- | 作成日時:2019年1月19日 14時