あの人は婚約者、あの人は…結ばれない好きな人 2【マレウス・ドラコニア】【ヴィル・シェーンハイト】 (ページ33)

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2ｰ30それぞれの痛みページ33

痛みに耐えられず、愛してる、と思ってもいない事を言って私は気を失った

意識が飛ぶ瞬間、微かに見えたマレウス様の顔は…笑っていた。そして、今までされたことの無い優しい口付けをしてきたのを覚えている。…きっと満足したんだろう

そして目が覚めるとあの日から既に4日も経っていた

ベットには横になっているものの、怪我の処置は充分にされていなかったのは痛みですぐに分かった。きっとマレウス様の指示だろう

それに…あの言葉だけは言いたくなかった。愛してる、そう伝えたかったのはマレウス様じゃない

「……ヴィルに、言いたかったなぁっ……なんで、あんな事言っちゃったんだろっ…言いたく、なかったのに……っ」

あの方のせいで泣いたのは何時ぶりだろうか

…いや、痛みに耐えられなかった私が痛みから逃れたくて言った言葉だから、自業自得だ

呼吸する度に軋む骨に、首を圧迫していた感覚、痣になっているこめかみ、そして心の傷…全てが、痛い

…寝ている間に付けられたのだろうか、手首には新しいマークが2つ出来ていた

「…今回は手袋が必要になっちゃったな」

痛みで身動きが取れない中、そんなことを考えているとドアをノックする音が聞こえてきた

「失礼します。…！！A様、お目覚めになられたのですね！！今すぐマレウス様と親父殿を呼んできます！」

「あっ待…い゛っっ…………はぁ、仕方ないか」

また口裏を合わせられるんだろうな。リリア様にも言っていない関係だから、そうするに違いない

そう考えていると、廊下から走ってくる足音が聞こえてきた

「A！おぉ、目が覚めたんじゃな！！まったく驚かせおって、寿命が縮まると思ったわい」

「A様！！！！！よくぞご無事で…！！！」

2人の走ってくる足音が聞こえてきたと思えば、リリア様とセベクくんが部屋に入ってくると、部屋の中があっという間に騒がしくなった

……そして、もう1人の足音が聞こえてきた

「―――目覚めたようだな、無事で何よりだ」

……ほら、また貴方はそうやって何もしてない振りをする

To Be Continued⏩