実験体は逃げ出したい【降谷零】

大人になれない大人 ページ48

『此方だって！』


『まって…』


「まって…」


目が覚めるとそこはまだ仮眠室の中だった。俺は影を掴もうと手を伸ばしていた。


「最悪だ…」


「あ？起きましたね」


と頭を撫でてくる。その手をぱしんと叩き落としてしまった。


「お前は正義でやってるかもしれないが俺はもう…只の犯罪者だ。」


ベッドを降り扉に手をかける。もう撫でて貰う資格もその手を取る資格ももう俺には残ってない。


「じゃこれからはよろしくな！バーボン！」


笑って俺はその場を後にした。




バーボンside


残党処理とは言ってもあまりに時間がかかりすぎていると思い上へ向かったら声がした。か細く今にも消えてしまいそうな。


「俺達であの組織を壊滅させような」


と言う声が聞こえて俺達？と疑問を持ち覗くとこの世に留めるように残党に抱きついているAが見えた。


薬の臭いもしないし何かの幻覚症状ではないと思って前に出たが


本当に何故こいつを殺そうとするのが分からないと言う顔をしていて嗚呼。夢でも見ているのだろうかと冷たいことを思ってしまった。


純粋な子供を騙してまるで誘拐犯の様な光景。全く似てない奴がスコッチと呼ばれる筋合いなんてないのに。


泣きじゃくるAを見てまだ成長してなかったんだ。と改めて分かった。痛いほどに。


スタンガンで気絶させて運ぶとき少し痩せたのか軽かった。


僕自身もスコッチ…いやヒロが生きてたなら…あれが偽物だったら…と時々考えてしまうよ。

冷と学校→←薬と理性

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す