実験体は逃げ出したい【降谷零】

薬と理性 ページ47

「俺達であの組織を壊滅させような」


「うん…」


脱水症状になってしまうかもしれないくらい涙が止まらない。


「まずは情報を…」


「何してるんです」


声がして後ろを振り向くと青筋たてているバーボンが立っていた。


「何って…見ての通り？」


「何言ってんだよ兄さん…忘れちゃったのかよ兄ちゃんの事…」


「……良く聞いてくださいハイランド。」


『貴方の兄、スコッチは死にました』


心臓を貫かれた様な感覚がした。これは幻覚なんかじゃない。現に今触れているじゃないか。


「何を言ってるの…兄ちゃんは今此処に…」


「僕にはこいつは全くスコッチに見えませんがね」


頭を撃ち抜かれ兄ちゃんは血を流して倒れた。


「バーボン！お前何を…！！」


揺さぶっても目を開けない。兄ちゃんの回りにどんどん血の海が広がっていく。


「止まって…止まれってばぁ！！」


「止まったところでそいつは死んでますよ。」


バチバチと言う音を合図に俺は意識を失った。





「…れ…何で俺…」


「漸く目が覚めましたか。」


仮眠室の椅子に座って紅茶を飲んでいるバーボンが目に写りさっきの光景を思い出す。


「そうだ…兄ちゃんは？兄ちゃんはどうなったの…？」


「…どうやらまだ…いえそうでしたね今日は投薬の日でしたか。」


机に紅茶をおいて何処かに電話をかけた。スピーカーにして。


「バーボンです。ゼロイチハチの今回の作用が幻覚かもしれません。」


「幻覚…？」


そう言えば夜に…って言ってたな。幻覚…声も全部…知らない奴に俺は重ねてしまったのか…


「引き続きゼロイチハチの監視を頼む。」


「勿論です。」


電話が切られた後俺はバーボンに謝った。こいつも兄ちゃんと仲良かったもんね…





あれ？この情報って何処の…



「っ！！」


「頭が痛むんですか？ちょっと待っててください」


と俺を一人残していった。

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