実験体は逃げ出したい【降谷零】

初めてのころしかた ページ43

俺の目の前には裏切り者と称されるまだ若い奴が縛られていた。


「やってみろ」


ジンが俺に銃を渡してきたので拾い上げて脳天にAIMを合わせた。


「お願いだ。やめてくれ」


ボロボロになった体を見て拷問でもされたのだろうか。と考える。


落ち着こうと色々と考えるが手の震えは思った以上に止まらなかった。殺すと言うことが自分とはかけ離れていたものだと思っていたから。


「何してる。早くやれ。」


「待って。俺は…」


スッとジンの手が俺の手と重なり引き金を無理に引かせた。


彼方此方に返り血が飛んできて俺の頬を赤く染めた。全身の筋肉が脱落しその場に座り込んでしまった。


「あ…ごめん…ごめんなさい…」


涙が溢れて泣きじゃくった。ウォッカに無理矢理立たされて家まで送ってもらった。


もうこれで俺は灰色から黒に染まることになった。





「行ってらっしゃい」


「うん！」


冷は髪を染めることなく学校へ行くと決意し小学校へ入学させた。


俺はその間昼間には薬の実験台。夜は組織の仕事となっている。


着メロが鳴り、誰だと待受を覗いてみるが電話にはでない。


「コナンくん…ごめんね。もう俺は…」


頑張ってくれたのに。俺を助けてくれたのに…俺は何にも恩を返せていないまま連絡をしないで数週間が立った。



ある日


「ねえ。お兄ちゃん。お友達連れてきても良い？」


「良いけど冷の部屋以外に入らないでね。仕事の書類とか色々とあるんだから。」


と了解を示すと嬉しそうにしていたので俺まで嬉しくなる。唯一の俺の癒しだからな。


「だけど気を付けるんだよ。」


「うん。レイ絶対に約束破んない！」


俺は自ら実験施設へと足を運ばなくてはならない。小学校へ見送った後向かった。

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