実験体は逃げ出したい【降谷零】

ランプがなって ページ1

ビービーと煩くランプがなる。


俺は監視カメラを狙撃して、管理室に行き、ゲートを開けて脱出をした。


知らない人、知らない街並みに少し酔ってしまったが、此れからの事を考えて行かなきゃ。


銃弾をかすった腕を押さえて橋の下で息を整える。


兄さんと同じ髪色、瞳の色を気に入っていたが、もう面影はない。化け物だ俺は…


「やっぱり死んだ方が良かったかな」


脳裏に悲しそうにガラス越しから笑いかける兄の姿が写った。


川に近づいて足を入れた。


「あー足も血まみれだ…滲みる」


この服じゃ町中は歩けないし結局は俺に居場所はなかったのか…


「寂しい…兄さん……！！」


川の中でしゃがみこむ。人通りの少ない場所。誰が死のうが皆は知らない顔で生きる。俺が死ねば今度は俺の代わりになるモルモットを捕まえる。


生きたい。生きたいのにと感情が高まる。髪色が徐々に変わっていく。感情が入り込むと色が可笑しくなる。


「…助けてください」


「僕が助けてあげる。だから川から出なよお兄さん。」


自分より幼い声がして振り向くとランドセルを背負った少年が真っ直ぐ俺を見ていた。警戒して銃を向けるが動揺すらしない。


「誰だい？場合によっては撃ち殺すよ。」


「お節介な探偵だよ。」


「探偵…」


兄さんも探偵がどうこう言ってた。兄さんが探偵やっていたんだ。悪い奴なんていないと思いたい。


「それに撃ち殺すと言っても銃弾もうないでしょ？」


そんなことまでわかるんだ。探偵って。


「君みたいな小さな少年が俺を助けてくれるの？」


「うん。約束するよ。」


渡されたハンカチを俺は握りしめ、外に出てから初めて信じることをした。

白いハンカチ→

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