【文スト】今宵貴方の心を奪いに参ります。…って予告状出したら逆に奪われた。【中原中也】

侵入。 ページ8

「あー……怖い」









巨大なビルを前に、ぼそっと呟く。









かっこつけて“夜は怪盗の為の舞台”とか言ったけど心底恥ずかしい。









シナリオ通りいけばいいな。









短髪のウィッグ、ボロボロの作業着。









変装は完璧。









ビルに入る。









２人の黒スーツの男がいた。









すんなりと通してもらえる。









と、そこで催眠スプレーをかける。









これも事前に言ってある。









２人が倒れる。









侵入完了。あとは、カメラにわざと移り込んで…









そのまま歩く。









男「誰だ！？」









「は？」









男「侵入者だ！幹部を呼べ！」









よし。これで首領さんの部屋に連れて行ってもらえれば…









中原「ああ？何事だ」









男「侵入者です！」









中原「…誰だ手前ェ」









「あんたに用はねぇよ」









と、頭を掴まれる。









中原「手前ェの処罰は首領が下す。さっさと来い」









完璧。









＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿





首領の部屋にやって来た。









さあ、ここからは演技力の問題だね。









「っつーか！離せよ！」









中原「侵入者です、首領」









森「ほう、それは面白いねえ」









「侵入者じゃねえし！」









中原「目的は」









「はあ？」









森「言い給え」









「…あんたらの部下に首領を殺せって頼まれたんだよ。なんたって、俺は殺し屋だからな」









もちろん嘘。









「まあ、マフィアを束ねる首領に勝てるわけねえだろと思ったから半分諦めてるけどな、俺は」









森「……それはそれは。…それで、その部下の顔は？」









「知らね。随分顔を隠してたみてえだし、よく見てねーよ」









中原「…どうします？」









森「…部下全員を集めて……ね。私も行こう」









中原「了解」









森「２人はこの者の監視を頼んだよ。さあ、エリスちゃん、行こうか」









エリス「はぁい」








３人が出て行き、黒スーツの男２人が僕をじっと見つめている。









完璧。完璧だよ、本当に。









催眠スプレーをかける。









２人が倒れた後、あらかじめ下に来ておいた黒スーツに着替える。









……ここからが命懸けの戦いだ。

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