【文スト】今宵貴方の心を奪いに参ります。…って予告状出したら逆に奪われた。【中原中也】

そして噂の怪盗は。 ページ4

「へっくしゅ！…うぁ〜…」









本日何回目かのくしゃみが出る。









「へっ…くしゅ！」









というか、さっきから止まらない。









「風邪…？」









涙目になりながら呟く。









木々がアーチのように並ぶ通り。









木漏れ日が眩しく、暖かく、心地よい。









「へぁっ…くしゅぁ！」









誰か嫌な噂でもしてるのか？









まあ、怪盗だから仕方ないけど。









「僕だっていいことしてるもん…」









ていうか、今日は仕事が二件もある。









宝石を持ち主に返すこと。









それと。









マフィアに情報を奪われたとか何とかギャーギャー騒ぐ連中からの依頼で、書類を取ってきてほしいとか。









「僕を消したいのか」









その時。









誰かにぶつかった。









後ろに倒れかけるのを、僕は体制を立て直そうとしたが、一般人を装う以上、怪しまれると大変なので、やめた。









代わりに、誰かが僕の腕を引いて、気づけば僕はぶつかった人の胸の中だった。









「ご、ごめんなさい！」









？「ったく、気をつけろよ」









ぱっと離れて顔を見る。









「あ…」









中原中也。

ポートマフィア幹部。

重量にまつわる異能力。









もしかして、嗅ぎつけられた？









いや、それはない。









だってあんなふざけた予告状にかかるような組織じゃない。









あれはあくまで、ひかっかかってくれたらいいなあって意味と、ちょっとした油断を誘うための予告状で…。









中原「…お前…」









「…なんですか？」









一般女子のぽかんとした表情を作る。









中原「…いや、何考えてるかわかんねェ顔してんな」









「は」









中原「そんなアホ面でまたぶつかんなよ」









ひらひらと手を振って去っていく中原中也。









「…アホ面ぁぁぁぁ！？」









絶対情報取ってやる！

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