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気になって仕方がない ページ13




  時透side.



 突然すぎる事だが、僕には気になる人がいる。

 その人には2人の兄が居るけれど、その人たちに言

 ったら驚かれると思う。

 その人と僕との間に特別な接点がある訳では無いけ

 れどいつの間にか目で追ってしまう人。


 それが不死川A。


 ずっと前から思い悩んでいたのだが、今日という今

 日こそ、ちょっと逢引に連れて行こうと思う。

 上手く連れて来れるかどうかはわからないけれど。

 少し早めに稽古を切り上げて不死川さんの屋敷を見

 に行っても居なかったから多分今は伊黒さんの屋

 敷。

 Aは伊黒さんの継子だと聞いたことがあるか

 ら。


 色々あって、伊黒さんの屋敷に着いた頃には陽が傾

 いてきていた。

 本当はもっと早めに連れて行って甘味処にでも行こ

 うと思っていたけれどもう今日は無理だろうな。

 残念。


 時「今夜A借りてってもいいですか」

 伊「は」


 伊黒さんはやっぱり怖い顔で睨んで来た。

 怖。


 どれだけの執着をAに対して持っているのだ

 か。

 半ば呆れながら伊黒さんを説得しようとしてもなか

 なか了承して貰えず、Aは別の部屋に行ってし

 まった。


 そんなこんなで何とか伊黒さんを説き伏せ、A

 との外出許可が出た。

 あわよくば…と考えていたが、そう上手くは行かな

 いみたいで。

 Aの部屋の襖を開け放つと、Aは髪を梳い

 ていたのか、片手に綺麗な櫛を持っていて、少し心

 の奥がモヤッとしたのを感じた。

 あのような櫛は女の人が1人で買うようなものでは

 なかったから。

 後でちょっとあの櫛について聞いてみようか。


 Aと手を繋いで街を歩くと、街の人が僕らをま

 じまじと見ながら通り過ぎていった。

 
 『ねぇ、手いつまで繋いでおくの?』

 時「離すの?」

 『離さないの?』

 時「他の人に見せつけられるじゃん」


 Aは僕の真意を知ってか知らずか、神妙な顔で

 手を見つめる。

 Aはそういう事に疎いから、仕方がないのだろ

 うか。


 『見せつけられるって…付き合ってるわけでもある

  まいし』


 その一言に引き摺られてでも少しだけ、ほんの少し

 だけ胸がチクリと痛んだ。

 言いたいことはまだたくさんたくさんあったけれど

 言わずに全て飲み込んで、この一言に全て込めたつ

 もりだ。









 時「…まぁいいよね」

理由なんて→←手を引いて



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作者名:三三七拍子(三度目の正直) x他2人 | 作成日時:2019年12月29日 21時

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