蓮華と十字架 (ページ7)

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兄妹ページ7

年が明けてしばらくした雪の夜だった。

　童磨に連れられて花街に行った。

　『…あれ？』

　童「どうしたんだいAちゃん」

　私が指ささした先には倒れている2人の幼子。

　1人は黒焦げ、もう1人は首を切られている。酷い

　な。

　人間の所業なのか？

　「あ、ああ……これ以上、これ以上妹から取り立て

　るなあぁ…」

　『大丈夫？』

　しゃがみこんで羽織をかけると、僅かに目が合っ

　た。

　「く、くそ……幸福はあがなえる縄の如しじゃない

　のかよぉお……」

　童「おお…こ、これは何かあったのかな？」

　苦笑いして童磨は頬をかく。

　『何かあったどころじゃないんじゃない？』

　2人を抱えて立ち上がる。

　『連れて帰ろ』

　童「やっぱりAちゃんは優しいなぁ」

　童磨は大丈夫？重くない？なんて言いながらおろお

　ろする。

　『大丈夫。早く帰ってから手当してあげなきゃ』

　私の腕の中で女の子が呻き、男の子は心配そうに私

　を見上げる。

　「う、梅は…助かるのかぁあ？」

　『助けるから。』

　童「Aちゃん何時になくかっこい～」

　僅かに雪が降るのを避けるように早歩きして、童磨

　の屋敷に戻る。

　妹の方は割と酷い火傷だったが、話はできるよう

　だ。

　「ねぇお姉さん、私今どんな見た目なの？」

　『…痛そう。ねぇ、落ち着いて聞いてね』

　「わかってるわよ」

　『あなた、鬼にならないと死んじゃう。鬼になって

　も生きたい？』

　「鬼？」

　『うん』

　言葉にして説明するのは難しいので、実演でわかっ

　てもらうべく、近くにあった短刀で手の甲を刺し

　た。

　「ちょ、ちょっと！何してるの!?」

　『梅ちゃん、鬼になったらこんな傷、すぐ治るの。

　でも、日光に当たったら死ぬ。寿命も実質無くな

　る。鬼になる？』

　「なるわ！」

　梅ちゃんは間髪入れずに私の方に身を乗り出して目

　を輝かす。

　『ちょっと嫌かもしれないけど、血、飲んで』

　手のひらをさっと斬って溢れた血をちょうどそこに

　あったガラスのグラスに汲み、彼女に差し出す。

　梅ちゃんを童磨の元に連れて行って私も休む。

　童「Aちゃん、妓夫太郎君が二人で話しをした

　いって」

　『私と？いいよ？』

　童「梅ちゃん、今から君の兄さんとAは2人で

　話すことがあるらしいから、俺たちはどっか行

　っとこうか」