蓮華と十字架 (ページ13)

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お揃いの耳飾りページ13

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　目が覚めたら童磨の腕の中にいた。

　昨晩は寝落ちてしまったのだろうか。

　まだ眠気が抜けきらない頭は考えるという行為を受

　け付けない。

　童「おはようAちゃん！昨日はよく眠れたか

　い？」

　『おぼえてない』

　童「呂律が回らないAちゃんも可愛いね

　ぇ～」

　『うるっさい…朝から騒がしい……』

　童「朝からなかなか刺さること言うじゃないか！

　そう言えばAちゃん、今日は妓夫太郎君と

　梅ちゃんと呉服屋に行くんじゃなかったのか

　い？」

　『えっ…？……あ、そっか！忘れてた』

　パッと頭の中に立ちこめる眠気が吹っ飛び、私は体

　を起こそうとするもそれは叶わず、その原因の童磨

　はケタケタ笑うのだ。

　『私着替えたい』

　童「ここで着替えたらいいよ！」

　『バカじゃん』

　私の腹部にキツく回された腕は緩められる気配もな

　い。

　今日も今日とて童磨のウザ絡みは天下一品だと思

　う。

　「Aお姉ちゃん！…って、童磨さん何やってる

　の？」

　『おはよう梅ちゃん、いい天気だね』

　童「梅ちゃんの態度の落差が辛いよ～」

　「そうね！今日は着物を買ってくれるのよね！」

　『うん、行こうね』

　「…あれ？」

　『？』

　梅ちゃんが年相応の子供らしく、コテンと首を傾げ

　る。

　『どうしたの梅ちゃん』

　「その耳飾り、昨日はつけてなかったと思うわ！ど

　うしたの？その耳飾り」

　『耳、飾り…？』

　なんのことだと思いつつ両耳にそっと触れると、ひ

　んやりとした何かが指先に触れた。

　『え？…なにこれ』

　「とっても綺麗！Aお姉ちゃんにとっても似合

　ってるわね！…にしても、何でそんなに童磨さんは

　嬉しそうなのよ」

　『……童磨？もしかしてこれって』

　もしかしてと思って振り返ると、彼はいつもの笑顔

　を浮かべて、そうだよ～と笑う。

　『はぁ…もう、どんなつもり？』

　童「俺だけのAちゃんだぞっていう他の男に対

　する牽制と、単なる自己満足さ。」

　「駄目よ！Aお姉ちゃんは渡さないわ！」

　『う、梅ちゃん…』

　プンプンとしながら私の腕を掴んで引っ張るものだ

　から、童磨も私も苦笑いするしか無かった。

　「梅、朝から騒がしいなああぁ、どうした？」

　「童磨さんがAお姉ちゃんを独占しようとする

　のよ！」