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走れ ページ27

 私を恨めしげに見上げて歯ぎしりする鬼の口元に刃

 を力一杯突き立てる。そのままぐっと引くと、ブチ

 ッと嫌な音を立てて口が浅く切れた。

 それでも鬼は再生していく。額に冷や汗が滲んでき

 た。


 堕「何よ。私は口を切ったら死ぬわけじゃない

  のよ?」

 『知ってる。再生速度を見ただけだ』

 堕「あら、そうなの?」


 不敵に笑ったかと思えば、堕姫は私を押しのけ、帯

 で体を斬りつけようと狙いを定めた。

 来るであろう痛みに目を閉じても、その痛みは来な

 い。

 見ると、炭治郎君が帯を纏めて切り落としていた。

 咳き込みながら刀を振るい続ける炭治郎君を、私は

 ただ見ていた。

 動こうと思ったが、動けなかったのだ。


 私のものでは無い誰かの記憶が、炭治郎君の姿と誰

 かの姿を鏡写しにするのだ。


 《A、動くのよ!》


 誰かの声が耳にこだまする。

 誰だ…?


 私はその鈴のような声に引き摺られるようにして炭

 治郎君の前に風を切って跳んだ。


 炭治郎君が切りそびれた帯が、炭治郎君の喉元に触

 れる寸前で焼き切れた。

 堕「(何これ!!熱い…!!斬られたところが治らない!?

  何でよ!!)」


 数歩後ろに下がった鬼に刀をつき立てようと右足を

 踏み出した時、誰かが私の前に降りた。


 『!!禰豆子…ちゃん!?』


 禰豆子は私が止めるのも聞かず、堕姫の元に向かっ

 た。とても人間にはできないような戦いが始まる。



 吹き飛ばされる手足、迸る血飛沫。

 禰豆子は胴を切り離されても、手足を引きちぎられ

 ても、堕姫を殺さんとしていた。


 倒れたままの炭治郎君の傷に、引き裂いた羽織をキ

 ツく巻き付けて応急処置を施す。

 それでも、淡い藤色の羽織は、どんどん真っ赤に染

 ってゆくばかり。


 突如、脳内に電撃のような痛みが走る。

 反射的に禰豆子の方を見ると、その姿は鬼に限りな

 く近くなっていて、額には角が生え、体には蔦の葉

 のような紋様…言うなれば、痣が現れていた。

 『!!禰豆子!!』

 禰豆子は怪我をしていた吉原の人に襲いかかろうと

 する。


 するとその気配を察知してか、さっきまで寝ていた

 炭治郎君が起き上がり、鞘に収めたままの刀を禰豆

 子の口に枷のようにして噛ませる。



 炭「禰豆子!駄目だ!!耐えろ!!」


 炭治郎君の拘束から逃れようと暴れる禰豆子に、炭

 治郎君は涙を流しながら優しく語り掛ける。

救援→←血塗ろ



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三三七拍子(プロフ) - サブレさん» ありがとうございます!マジでモチベアップに繋がります!これからも頑張ります! (2019年11月3日 15時) (レス) id: 9b74e616b2 (このIDを非表示/違反報告)
サブレ - めちゃくちゃ面白いです!投稿頑張ってください (2019年11月3日 15時) (レス) id: f23e27acb6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三三七拍子 | 作成日時:2019年10月22日 21時

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