1話 ページ1
夢野side
昨今、若者の本離れが深刻化されている。
実際、作家の収入も右肩下がりの状態だ。
そんな現状と読書との唯一の架け橋……なんて呼ばれることもあるが、嬉しいと思ったことなどありはしない。
さて、そんな中律儀に本を書く少年がいるらしい。なんでも笑いながら文を連ね、飢えてでも書きたい……そんなことすら言うらしい。
これはこれは、小生の小説の題材になりそうじゃないかと、思い立ったのが昨日。
まさか昨日の今日でお会いすることが出来るとは。
敵ではあれど、調査を依頼したイケブクロの兄弟は中々使えるようだ。
「こんにちは。夢野幻太郎です」
自己紹介なぞ柄ではないが、あちらの警戒を解かない限りは会話には至らないだろう。
ここはとある喫茶所の向かい席。
右側に設置された大きな窓から光が差し込み、なんとも神々しい演出がなされている。
「夢野……先生?」
少年が訝しげに呟く。
「そうですよ」と笑いかければ、用意された紅茶を1口すすりまた小生を見て、すぐに逸らした。
この少年は幾分人見知りなようだ。
「知りませんか?」
小生の事を先生と呼んだ時点で作家としての夢野幻太郎を知っているに違いないが、少年から話す様子は無いので質問で返す。
「そ、そんなことないです!」
彼の慌てた様子が面白くて、ついいじめてしまう。
我ながら悪癖の持ち主である。
「貴方の作品、読ませて頂きました。」
少年とは思えぬ世界観の広さ、文章力と表現力。
美しさの中に儚さを描く小生とは真逆で、絶望の中の人間の心理を追求していくような……そんな作品だ。
「夢野先生が……僕の本を?」
「ええ」
目の前で頬を赤らめる少年の名は夏野坂 知友というらしい。
ペンネームも同じ名前だが、これはもしかすると本名ではないのかもしれない。
まあ、この関係に正しい名前なんて物は必要ない。
小生はキミに興味がある。それだけなのだから。
97人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まぁにゃん(プロフ) - りっぴょんさん» そう言って頂けると嬉しいです!更新頑張ります! (2019年12月8日 12時) (レス) id: 4f60f06f3d (このIDを非表示/違反報告)
りっぴょん(プロフ) - 文章が読みやすく惹き込まれます。続きを読む手が止まらないっ…!!お気に入り登録させて頂きました。 (2019年12月8日 12時) (レス) id: d00b99b79a (このIDを非表示/違反報告)
まぁにゃん(プロフ) - 。#vll さん» ありがとうございます!今直してきました! (2019年12月8日 8時) (レス) id: 4f60f06f3d (このIDを非表示/違反報告)
。#vll - あの、四話のホストをやれなくもないだろうが。の「だ」が「ど」になっています、僕の勘違いかも知れません。作品はとても面白く続きを楽しみにしています!応援しております! (2019年12月8日 2時) (レス) id: 01ebef5845 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まぁにゃん | 作成日時:2019年12月5日 23時