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目黒「さむっ…」
目黒たちが光から出ると目の前には大きな滝があった。
らう「…懐かしい」
目黒「来たことあんの？」
らう「……」
らうが反対を振り返った。
振り返った方向に人影が見え、低い男の声が共に聞こえた。
武器を持っている男たちの影とその男たちから逃げる少年の影。
目黒「らう…隠れなきゃ」
らう「大丈夫、奴らは僕たちには気づかないから」
らうは人の影をじっと見た。
目黒も同じように、らうをちらちら見ながら影を見た。
顔があらわになった時、目黒は気づいた。
らうに、似ている…。
するとらうに似ている少年が男が持っている剣で足を刺された。
目黒は後ずさった。
2回、3回、4回。
少年は動かなくなった。
目黒「なんで、こんなところに…！」
らう「黙って。」
目黒はらうの指示に従った。
少年の泣く声だけになったとき、滝の下からザパーンと大きな音をたてながら、龍が出てきた。
目黒がお亮さんの家の中で見た龍だった。
その龍は口から冷気のようなものを出し少年の足に吹きかけた。
「…きみは…優し、龍だね…。」
少年が龍に話しかける。
龍は悲しそうに目を閉じている。
「ありがとう…体が楽に…なったよ…」
それ以上、少年は言葉を発さなかった。
少年の胸から白く光るものが飛び出し、龍の頭に沈んだ。
龍の姿は薄くなり、代わりに少年が立ち上がった。
そして、元気に走り去っていった。
らう「僕にね、あの子の魂が乗り移ったんだ。」
突然話し出したらうに目黒は目を向けた。
目黒「魂が…？」
らう「僕たちの過去だよ。ここの世界は。」
目黒「過去？」
らう「江戸時代。」
目黒「タイムスリップしたの？」
らう「うん。…じゃあ、山降りよっか。さっきも言ったけどこの時代の人達に僕たちのことは見えないから。危険ではないよ。」
目黒「…うん」
らう「でも、悲痛かも。」
目黒とらうはここからは一言も話さずに山を降りていった。
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作者名：しにゃん
| 作成日時：2021年1月18日 23時
