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目黒「お亮さーん！」
お亮が館の中を掃除していると外から元気な声が聞こえた。
お亮「あら、蓮くんではございませんか。」
その声の主は目黒で、今日はカバンを持っているらしい。
お亮「どうかされたのですか？」
目黒「いや〜勉強をしにね」
お亮「そうなんですね！では、どうぞ。オレンジジュースでよろしいですか？」
目黒「あ、はい！お邪魔します。」
靴を脱いで部屋に上がった瞬間、シュンっと何かが横切った。
気のせいだと思い目黒は座布団に腰を下ろしたが、また、目の前をシュンっと通り過ぎた。
その後すぐ、お亮が声を上げた。
お亮「こら、らう！緊張してるからってその姿で飛び回らないでください！」
らうという名前らしいがその正体は龍だ。
人間である目黒の突然の訪問に緊張しているらしい。
お亮「ほら、ご挨拶しなさい。」
ふすまからチラッと顔をだすらう。
相当な人見知りなようだ。
お亮「もう…。この子は龍の子で名前はらうと言います。現在修行中で人間と仲良くならなきゃいけないんです。」
淡々と説明していくお亮。
目黒は必死に脳を回転させた。
なるほど、龍と友達になれと…。
目黒「もちろん、いいよ。」
らう「やった！」
らうは目黒の向かい側に座った。
相当嬉しいのかニコニコ笑っている。
そんな姿を見てお亮も微笑み、
お亮「蓮くん、ありがとうございます。」
と、目黒にお礼を言ってらうの隣に座った。
目黒は持ってきたテキストを開いてシャーペンを手にしたが、すぐに机に頭を突っ伏した。
お亮「あら？どうされたのですか？」
らう「具合悪い？」
目黒「いや…」
お亮「熱中症でしょうか？」
目黒は数学の問題がわからないだけだ。
今日は教えてもらうのが目的で来たのだ。
そうだ、忘れていた。
と、目黒は顔を上げた。
目黒「数学わかんねぇ…」
らう「数学？」
お亮「数字やギリシャ文字を使った学問のことですね。とても複雑な学問なのです。」
らう「え、人間ってそんなこと学んでんの？」
目黒「やっぱりそんなことって思うよなぁ…。お亮さん、数学わかります？」
お亮「問題によりますけど、お教えしましょうか？」
目黒「まじ？あざっす！」
目黒は初めて夏休みの宿題が二学期までに間に合うと、
心の中でガッツポーズをした。
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作者名：しにゃん
| 作成日時：2021年1月18日 23時
