第1章 ページ2
照りつく太陽の下の海に小型の船が浮いている。
その船の上で海の風に吹かれている少年がいた。
名前は目黒蓮。彼は17歳の高校2年生である。
7月中旬から8月下旬までの夏休みを祖父母の家で過ごすらしい。
船からおりると1台の軽トラが不自然に止まっていた。
目黒「おじいちゃん！」
祖父「おぉ、ようきたなぁ。」
軽トラは目黒の祖父の物のようで、迎えにきたらしかった。
目黒は多い荷物を後ろの荷台にのせ助手席に座った。
目黒「いや〜懐かしい」
なんて、お決まりの言葉を放ち、近況を報告していく。
窓の外を眺めながら、なにか感慨深いものを感じていたが、ふと、違和感を感じた。
緑の奥に立派な建物。
鳥居がある。神社だろうか。
覚えがない。見たことがない。
最後に来たのは小学生のときだったが、あんな立派な建物、記憶に残るはずなのに。
目黒は黙ってはいられず祖父に問いかけた。
目黒「ねえ、あんな建物あったっけ？」
祖父「ああ、覚えとらんか。まあ、そうか…。」
目黒「なに？」
祖父「いや。…あの建物にはな若い男が住んどる。綺麗な顔をしとってな、とてもええ子やったわ。しかし…何年も見とらんのぉ。こんな狭い島やのに。」
目黒「家には行かないの？」
祖父「行かないんやなくて行けんのや。この島の住人はみんな歳をとってもうたけん。」
目黒は気になった。
どんな男が住んでいるのか。
理由はないが、でも、祖父の濁した喋り方も気になった。
目黒「俺が見てこようか」
祖父「おぉ、それは心強い。兄ちゃん、元気やとええな〜」
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作者名：しにゃん
| 作成日時：2021年1月18日 23時
