□ ページ3
.
そんな彼女がＡランクの冒険者になった年には、すぐに運命に引き寄せられるかのように調教師試験の参加者募集がかかる。
時は進み、三次試験。細腕とバカにされた相手と対面でやり合うマリア。やることなすこと不器用なくせに戦闘だけにおいては最強なのだ。
「血が付いたんだが」
「すみません今拭きます！ マリア様！」
我慢を強いられる環境にいたせいだろうか、人をなじる時の彼女の表情はどこかキラキラと輝いている。もはや一種のプレイようにもみえる。心做しか血を拭うハゲの顔も赤い。おいやめろ。読者はそんなものを望んではいない。
「し、試験番号251番！マリア・キャンディーラ合格!!」
まあなにはともあれ、彼女は三次試験である対人勝負を無事通過。この時から既に人間のヤバいやつがいるぞと魔人の中でも噂になっていた。ちなみに一次試験は筆記テスト、二次試験は体力テストである。ちなみに筆記テストの結果はゴミだった、頭を使うのが苦手な脳筋なので。
つぎに四次試験、試験最大の難関。
実際に犯罪をおかした獣人達が解き放たれた閉鎖された森に入り、獣人を1人でも従わせられれば四次試験は通過、無理ならば即脱落という内容。
獣人達は従わせられなかったら自由の身になれると言い聞かせられている為、双方必死だ。
数年前までは人間を食すことは五種の人種の中で犯罪とされていなかった。それほどまでに人間という存在は侮られてきた。
だからこそ、ここ数年、人間の合格者はほとんど出ていない。全員悪戯に食われてしまっていたためである。
そんな絶望の中でもマリアは襲いかかる獣人を薙ぎ倒しては鞭を打ち、薙ぎ倒しては鞭を打ち「───貧弱もの共がーーー！！！！」と悪態つく。
そして奥で立ち塞がる背の高い、獣化しきれていない豚の獣人をみて不敵に笑った。
「ここら辺、全部倒したんかアンタ⋯⋯」
「豚だ！おい、待て豚だと！？ 最高すぎる私はお前を絶対に調教する！」
「無視か」
それは西の訛りがある豚の獣人だった。ふわりふわりと怯えと期待を含んだ目で耳を揺らしながらマリアを見つめている。
そもそも調教師というものは、獣人や蟲人や魔人や海人や人の潜在意識にある被支配欲を擽り、ご主人様を誰かと理解させ、その本能を利用し活用する職業である。
「さあ、調教の時間だ。豚くん」
そしてマリアにはその素質がありすぎた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 349人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
n(プロフ) - とても面白いです！特にミートソースを捨てろが好きです (12月28日 18時) (
レス) @page6 id: 9f8fd53d26 (このIDを非表示/違反報告)
臓臓臓(プロフ) - 五十嵐さん» コメントありがとうございます。気まぐれ更新ではありますがあちらも更新していくつもりなので何卒よろしくお願い致します (12月16日 3時) (レス) @page9 id: 982e9ff04d (このIDを非表示/違反報告)
五十嵐 - こんばんわ！貴方様の終末の踊り方が好きです！よければそちらも再筆してほしいぐらいです！！！！！！ (12月15日 20時) (レス) id: 400a2c8525 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：臓臓臓 | 作成日時：2023年12月15日 8時
