□ 近隣海域の魔物について ページ12
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からからから、と人の通りすぎた微かな風に揺れて音を立てる吊るした彫刻の彫ってある小さな板。師会からの依頼行かなきゃか〜……という顔をしながら三人で温かい飲み物を口にして一向に動こうとはしなかった。もっと分かりやすくいうならこんな寒い中海に行くのめんどくせ〜という顔だ。
「その魚人がでる海域に行くとして船はどうするんや」
「グルッペン飛べるし乗らなくて良くないか？」
「バカ言うなよバカ」
バカの両頬をつまみ「俺は幻獣種なんだ、丁重に扱えやマリア。お前が保護するって言ったんだゾ」とグルッペンは言い聞かせるように言うがそんな言葉は右耳から左耳へと流れていく。最終的には頬を掴まれたままべっと舌を出して挑発していた。
「コイツがなんで調教師になったかよく分かる。性格が最悪だ」
「お前が言えたことじゃないぞグルッペン」
「オマエより下品じゃない」
「上品ぶってるだけだろ玉なし」
「この女、魚の撒き餌にしてやる」
「ええ加減にせえ〜〜〜〜お前らが喧嘩するとこの場所が半壊すんねんて〜〜〜毎回毎回誰が修理屋に頼んどると思っとるのこれ以上喧嘩したら俺がお前らを殺すでホンマ」
もだもだといつまでも本拠地から出るつもりのない二人に痺れを切らしたトントンが「ほら行くで」と立たせる。
マリアに至ってはトントンに寄りかかってもうほぼ自分の力でたっていなかった。慣れているのかそれを片手で受け入れるトントンに、マリアはどこかふと思い出したように彼の名前を呼んだ。
「……トントン」
「なんや」
「いつも助かってるありがとう」
いつもマリアは突然だった。
「……ぐ、」
「ぐ？」
「クソ……俺お前のそういうとこホンマ嫌い……」
被支配欲が満たされるこの瞬間、悔しいが結局この女が主人なんだと思い知らされる。犬なら今すぐに大きな尻尾を忙しなく振っていただろうし、猫なら嬉しそうに腹を出して甘えたような声を出していただろう。ぴるぴる、とかわいく動いた豚の耳はマリアの目によく映っていた。
「お前、やっぱり可愛いよ」
「……うざ」
こんな屈強な男、しかも豚の獣人を可愛いという女なんてマリア以外そうそういないだろう。優しい顔をしたマリアになんだかどこかトントンは落ち着かないような顔をした。
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続く
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n(プロフ) - とても面白いです！特にミートソースを捨てろが好きです (12月28日 18時) (
レス) @page6 id: 9f8fd53d26 (このIDを非表示/違反報告)
臓臓臓(プロフ) - 五十嵐さん» コメントありがとうございます。気まぐれ更新ではありますがあちらも更新していくつもりなので何卒よろしくお願い致します (12月16日 3時) (レス) @page9 id: 982e9ff04d (このIDを非表示/違反報告)
五十嵐 - こんばんわ！貴方様の終末の踊り方が好きです！よければそちらも再筆してほしいぐらいです！！！！！！ (12月15日 20時) (レス) id: 400a2c8525 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：臓臓臓 | 作成日時：2023年12月15日 8時
