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佐野side
舞台もほぼ終盤
あらすじも簡単なのしか教えてくれへんくって、カインの説明も簡単なのしかわからへんかったから
どんな話かと楽しみにしとったんやけど ....
まさか ローダはもうこの世におらん人やったとは ...
カインはローダを突然失ったショックを受け止めきれず、おらんはずのローダが目の前におると突然言い出す
周りの人間は当然おるわけがないとカインを馬鹿にするか、冷たい目で見るだけ
誰も助けようとしやん
カインはローダを失ってから ずっとずっとひとりぼっち。
その姿はまるで 道枝くんたちが前に出て行くようになって置いていかれたときのAみたいやった。
場面が切り替わり 場所は自宅から教会へ
「 返せよ... っ 俺のたった1人の恋人を... ！！ 」
舞台の真ん中で胸を押さえながら神に向かいそう叫ぶカイン
... あ ここ練習しとったやつや
神様に向けて言うてたセリフやったんや
誰にも理解されやん苦しみ、突然愛する人を失った悲しみ
その二つの絶望から振り絞るように出される叫び声
泣き声が少し混じって聞こえるような叫び声
すると突然うずくまってた体が勢いよく起き上がり後ろを振り返る
振り返ったカインは驚いた顔をした後すぐに優しい微笑みを浮かべる
「 ローダ！！ やっと会いにきてくれたんだね .... ！ 」
「 ふふ 愛してるよローダ 君は僕にとってかけがえのない人だから 」
ゆっくりとローダがいるであろう場所に手を伸ばす
ここもあの時練習しとったとこ
でもあの時以上に動きや声全てに感情が乗っとって 見とるこっちまで苦しくなってくる
手が空を切ってカインは膝をつく
そしてローダの名前を言いながら泣き叫ぶ
舞台が暗転したあと Aの声が舞台に響く
「 あなたは大切な人を突然失ったら 今の自分を保てますか？ 」
「 カインは未来のあなたかもしれません 」
「 大切な人を愛せるのは生きている限り。 後悔のないよう大切な人を愛してあげてください 」
「 どうか 僕のようにならないで 」
最後のセリフだけ 泣くような声で言い捨てられる
最後のセリフの後 しばらく暗転の状態が続き照明が戻る
照明が戻った舞台の0番に立つのはカインの衣装ではなく黒色のスーツを着たA
客席に向けて深くお辞儀をし 舞台の終わりを観客に伝える
Aの初主演舞台の初日の幕が降りた
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作者名：にろ | 作成日時：2023年7月2日 22時
