変幻自在 ページ1
佐野side
『 ... ！！ 』
舞台番組の休憩中、気づけば楽屋で寝てた俺の耳に聞こえたのはAの叫び声
なんかあったんかなと体を起こして声の聞こえた方に向かう
今日稽古があるのは俺とAだけで一緒に休憩入ったはずやねんけどなあ...
声がだんだんと近づいてきて 場所を確認するとそこは舞台やった
『 返せよ... っ 俺のたった1人の恋人を... ！！ 』
舞台のど真ん中で苦しそうにしゃがみ込んで胸を掴みながら叫ぶ男の人
そこにおるのは確実にどっからどうみてもAやのに
俺には別人に見えた
叫んだ後苦しそうに肩で息をしながら地面を見つめ 拳で地面を強く殴る
かと思えばすっと立ち上がって後ろを向く
そしてすぐに前を向いた瞬間
そん時舞台におったのは
さっきとまったく顔つきの違う別人のようなA
さっきは必死に誰かに 何かに訴える苦しそうな男
今は愛おしい人を前にしたような幸せな表情を浮かべる男
たぶんこの間は体感やと1分もない
... ほんまにこいつはやばい もってるもんが違いすぎる
改めて強くそう思わされる
『 ふふ 愛してるよローダ 君は僕にとってかけがえのない人だから 』
愛を伝えるために目の前にいるのであろう恋人に手を伸ばす
その手が空を突き抜け男が膝をつく
『 あぁ... っ ローダ 、 っ ローダ... っ！！！！ 』
また苦しそうに叫ぶ男の姿
... 切り替えがあまりにも早すぎる
こんなん 普通の人間にはできひんで？
俺はしばらく舞台の袖で立ち尽くした
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作者名：にろ | 作成日時：2023年7月2日 22時
