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「一旦休憩入りまーす！」
スタッフさんの声で、辺りがざわざわと緩んだ空気になる。
休憩を挟んでこの後二本目を撮らなければいけない。
翔ちゃんは完璧だった。
いつも通りの笑顔。いつも通りのやりとり。
体調不良なんて考えられないような立ち振る舞いに俺もみんなも動揺して、むしろ俺たちのほうが不自然にさえ見えた。
そんな翔ちゃんは一本目を撮り終えると、誰にも気づかれないようにスタジオを出た。
顔色は、最悪だ。
俺はしばらく躊躇った後、水の入ったペットボトルを片手に翔ちゃんを追った。
人気のないトイレに入った翔ちゃんは、そのまま個室に入っていった。
直後聞こえる、嗚咽と苦しみが混合した苦しみの声。
……あぁ、もう。なんで無茶するんだよ。
ドア一枚の距離が、地球の端っこと端っこくらい遠く感じて
俺はそのまま、動けずにただただ突っ立っていた。
翔ちゃんが出てきたのは、10分後くらいだった。
「……翔ちゃん」
「に、の？」
翔ちゃんの顔色はさっきよりも悪くなっていて、
返ってきた声は、今すぐ消えてしまいそうなくらいか細い。
「……大丈夫？ 水飲む？」
「あ……うん。ありがと」
弱々しくペットボトルを受け取り、乾ききったであろうその喉に水分が流し込まれる。
「……ごめんね、心配かけちゃって。楽屋戻ろっか」
微笑みにほっとしたのもつかの間、翔ちゃんの足取りはふらふらで
壁に体を預けそうになったその腕を、思わずつかんだ。
瞬間、翔ちゃんの肩がピクリと揺れる。
「……あ…っ、ごめん」
「いや……」
ざわつく胸を押さえて、慌てて手を離した。
……地球の端っこと端っこ。いや、それ以上の距離が今の俺達にはあって
そのもどかしさは、彼を見た時の愛情へと変わる。
……俺は何て言えばいい？
『あんなこといきなり言ってごめん』
『早く答えを聞かせてよ』
『俺は翔ちゃんと一緒にいたいだけなんだよ』
言葉が溜まって、溢れて、零れて
俺はいつまでそれを繰り返しているんだろう。
長い、長い沈黙。
破ったのは、翔ちゃんだった。
「…………ずっと、迷ってるよ」
「……え…？」
「迷って、分からなくて、もがいて……ずっと、苦しいんだ」
＿＿ドサリ
残響みたいに言葉が留まって
次に聞こえたのは、翔ちゃんが床に倒れる音だった。
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あかし(プロフ) - taekoさん» あまーーい！（byハンバーグ師匠）って感じでしたが…よく考えれば逆転歳の差という変化球でした…えへ。他にもSNさんなお話もあるので読んでってくださいませませ。コメントありがとうございますっ (2017年1月25日 22時) (
レス) id: a2aacb0a53 (このIDを非表示/違反報告)
taeko(プロフ) - あかしさん、あまーい！お話ありがとうございました。オトナになったしょうくん、この先店長の行動にどうなるのか？いっちゃえー！とsn担ながらも応援したいですよう。そしてあいばさん…。お疲れさまです。 (2017年1月25日 20時) (レス) id: 7194cb19fe (このIDを非表示/違反報告)
珠櫻(プロフ) - aoiさん» aoiさん、ご訪問ありがとうございます。豪華な作者様のお話はとても素晴らしいですよね！オムニバスはラストスパートなので、それまで楽しんでいただけましたら幸いです(#^^#) (2017年1月15日 10時) (レス) id: a60d445f6f (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - よく拝見させて頂いてる作品の作者さんが多くて、どのお話もとても楽しかったです。素敵な時間をありがとうございました(^ ^)Sさんの誕生日までまだまだ楽しませて頂きます！ (2017年1月14日 14時) (レス) id: d8d6835fa4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チームMagnet
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年11月26日 17時
