1話 ページ3
貴方site
コポコポと紅茶が音を立てながらカップに注がれる。
『...手鏡を頂戴。』
はい、どうぞと渡された手鏡
茶色に金色の柄、鏡に映る私はまるで小説のキャラの様に美しかった。
そう、ここは小説の世界
私は悪役のA・クロワーンになってしまった。
悪役の名前が同じだった事で、読み始めた小説。
この悪役はヒロインをいじ め、最終的には首をチョンパだ。
...どっかの小説ならそのバットエンドを回避するためにどうたらこうたら...となると思う。
けど私は、平和より刺激がある毎日の方が好き。
死 亡エンドを避け＋刺激的な毎日を送る。
幸い、このキャラは地位もお金もある。やりたい放題やろうじゃないの。
「...お嬢様、今日は高校の入学式ですよ。遅れたらまたお父様に怒られます。」
私の髪をとかしながら話すメイドはカナ。平民だったのをAに拾われたメイドの1人だ。
『えぇ、そうね、早くしましょう』
ふわっと着替え、玄関にいる高そうな黒い車に乗る
窓から見る景色は桜の木が並んでいて、風で花弁が散る。
ついたのか、車が止まる。ガチャッと扉が開き、車から降りる
「「「きゃああああああ！！！」」」
mob「A様よ！今日もお美しいわ！」
mob「あぁ...可憐で素敵だわ！」
学校でのAは大人しく、成績優秀でとてもいじ めをする様には見えない。
『ごきげんよう。』
手を振るとまたきゃああああああ！と黄色の歓声が上がる。
以外にうるさいわね。
生徒の横を通り、昇降口で靴を履き替える
「「「きゃああああああ！！！！！」」」
先程と同じように校門付近から黄色の歓声が上がる。
mob「生徒会の皆様よ！」
mob「今日もかっこいいわ！」
mob「きゃああああああ！鬱様あ！」
...どうやら、ヒロインを奪い合う王子様の登場みたいね。
早く行こうとしたら後ろから誰かがぶつかって来た
？？「あっ！すいません、よく前を見てなくて...」
驚いた。ヒロインのメイリンじゃない。
そう言えばヒロインは悪役の1つ下だったわね。
『...いえ、次からはしっかり前を見て頂戴。』
──いらっしゃい。私の玩具
続く
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作者名：さめちゃん | 作成日時：2021年12月1日 21時
