家庭科の先生は料理上手【ツイステ】 (ページ1)

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Prologue ページ1

『……作りすぎちゃったな』

職員用の寮でぽつりと呟く影。

その影は目の前に盛られた大量の餃子を眺め、小さくため息をついた。

影は一人でうんうん唸った後勢いよく顔を上げ、皿を持ったまま何処かへ向かう。

影が向かうのは1年A組の担任、ディヴィス・クルーウェルのもとだ。

影が彼の部屋の扉をノックすると、すぐに扉が開いた。

「……どうした、A」

『作りすぎてしまって。……迷惑ですか？』

クルーウェルは、影……もといAが持っている皿に目を向けそれから首を振った。

それから部屋にAを入れようと大きく扉を開け、少し考えてAに問う。

「……それ、他の先生方にも食べてもらうか？」

『それは……。迷惑ではないですか？』

「そんなことはない。お前の作るものは美味いからな。……きっと喜んでくれる」

Aはクルーウェルの言葉に恥ずかしそうに顔を赤らめた。

その様子を見ながら、クルーウェルは教員たちのグループにメッセージを送る。

クルーウェルAが飯を作りすぎたそうだ

クルーウェル今から寮のキッチンで食べるが。早く来ないとなくなるぞ

早速既読がつき始めたのを確認し、クルーウェルは携帯を閉じる。

Aが持っていた皿を貰い、二人で歩き始めた。

キッチンへの道中、クルーウェルのメッセージを見たバルガスと鉢合わせする。

バルガスは、クルーウェルが持っている皿を見て目を輝かせた。

キッチンに着くと、皿を机の真ん中に置いてそれを囲むように座る。

取り敢えず数人分のお箸を用意して、一足先に三人は餃子を食べ始めた。

「これは何というんだ？」

『餃子と言います。母国の料理です』

「あつっ」

クルーウェルとAが話している横で、バルガスが餃子を口に放り込む。

1個まるまる口に含んだバルガスは、あまりの熱さに声を上げ、それからゆっくりと咀嚼し飲み込んだ。

Aが、少し緊張した様子でバルガスを見る。

それに気付かず、バルガスはまた1個。また1個。と餃子に手を伸ばした。

「待てバルガス。俺の分がなくなる」

「早い者勝ちだ」

結局キッチンにはほとんどの先生が集まり、Aが作った餃子はすぐに完売となった。

クロウリーが、Aが別に分けていたタッパに気付き首を傾げる。

「それ、どうするんですか？」

『あ、これは。……オンボロ寮の、監督生への分です』