white05 ページ5
その後、紙飛行機の先生は去って行って、私はあっさり美緒に捕まった。
平山は既に帰ったらしい、良かった。
そう思っていたら、美緒が「そうだ」と思い出したように声をあげた。
「A、さっきお母さんがね、二人で電車で帰りなさいって」
「何それ、私のお母さんも言ってたの?」
「うん。私とAのお母さん、二人でショッピングして帰るからってー」
「……つまり、買い物に邪魔な私らは、電車で帰れってことか」
てか、また二人で買い物か。私らより、親同士の方が仲良いんじゃないの?
美緒から話を聞いて、とりあえず私たちは学校から出て駅へ向かう。
「ねぇA!入学式の前、朝、先生が女子生徒に囲まれてたでしょ?」
「……ああ、うん」
紙飛行機の人か。てか、それ以外印象深いところがない。
「私の後ろの席の子がね、この高校の2年生にお姉さんがいるんだって!もう仲良くなっちゃって、先生の名前聴きだしちゃったし、写真もあるの」
「それ、盗撮じゃないの?」
「違うよぉ、その子のお姉さんが先生に頼んで、ツーショット撮ったんだって」
「ふーん。で、美緒はその先生が気に入っちゃった感じ?」
「うん、もうカッコイイよ!」
美緒が力を込めてそう言い、その友達のお姉さんと先生のツーショット写真を見せる。
うん。この人だ。やっぱり、さっきの紙飛行機の人で合ってた。
それを確認して、私は「そうだね」と返す。
「成瀬 涼って名前なんだって!」
「へぇ。ふーん」
「もう、反応薄いー」
「だって私は、その先生の事興味ないし。あ、てか信号変わるよ、走って!」
青色の信号が点滅し始めたから、私は走って横断歩道を渡る。美緒の「え、待ってよぉ」という声が背中から聞こえた。
横断歩道を渡り終えると、私は美緒のペースに合わせて歩く速度を落とす。
「ほんっと、美緒とろい。危ないから、もっと周り見て喋ってよ」
「へへ、別にAがいるから平気だよ?」
「私がいない時もあるかもしれないじゃん」
「ああ、Aが怜くんと一緒に登校する日とか?」
「……そこで、平山が何で出てくるの!」
「仲良しっぽかったし?」
美緒が「何を怒ってるの?」という感じでコテン、と首を傾げる。
もうバカ。ほんとバカ。
「とりあえずもう一回言うけどさ、」
「なーに?」
「私は、平山と仲良しでも友達でも、何でもないから!席が隣なだけ!」
キッパリ言い切ったけど、美緒のことだからなぁ。
2人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めぐむ(プロフ) - Sakuraさん» Sakura,読んでくれてありがとう! (2017年12月28日 10時) (レス) id: b32ef37eb7 (このIDを非表示/違反報告)
Sakura(プロフ) - 可愛いお話(*^^*) (2017年12月27日 18時) (レス) id: 085712002d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ