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昼休み。
3組に行こうと席を立ったら、既にあの人がこっちの教室の前にいた。
「面倒だから、そのまま弁当も一緒に食べよう」
と言われ、私はお弁当の包みも持って教室を出た。
「名前、聞いてなかったよな。オレは汐崎 直人。汐崎でいいよ」
「椎名 A。椎名で、いいよ」
歩きながら自己紹介。この人…汐崎がどこに向かって歩いてるのかは分からないけど。
「椎名って怜のお気に入りっぽいけど、アイツのことどう思う?」
「どう思うって……」
今までの平山の言動を思い出す。
いきなり喋りかけて名前呼びを始めた平山。先生に注意された時、皆の前で「オレら仲良い」と言った平山。
私が迷惑してるのにわざわざ女子の前で話しかける平山。そして、私は何が嫌だったか気付いていない平山。
「無駄に元気で鈍感。一緒にいると疲れる」
「ははっ、まぁそうだよな」
「……正直迷惑だけど、平山が悪い人だとは思ってないから」
「それは良かった」
さっきから汐崎の後に着いていってるけど、ずっと階段を昇ってばかり。一体、どこへ行くんだろう。
「どこに行くの?」
「屋上。昨日怜と来たんだけどさ、けっこう気持ち良いよ」
階段を1番上まで昇って、汐崎が扉を開ける。ギイィ、と年季の入った音がした。
「お、今日晴れてて良かったな」
外に出ると心地よい風が当たる。雲ひとつない快晴も見える。
「初めて来た。中学の時、屋上って入れなかったから」
「だよな。オレも、昨日初めて来た」
屋上の真ん中に座って、二人でお弁当を広げる。
「椎名の美味そう。誰が作ったの?」
「自分で」
「へぇ、料理できるんだ」
「別に。親が忙しいから自分でしないとだし」
「親は、何の仕事してるの?」
「母はパリのファッションメーカーで働いてて、父は外銀のディーラー」
「へぇ。よくわかんねぇけど、カッコイイわ」
ははっと笑う汐崎。
「あ、そうだ。椎名のところに行く前に、怜にメッセージ送ったらさ」
汐崎がスマホの画面を私に見せてきた。
汐崎 直人椎名、放課後来てくれるってよ。今から昼一緒に食う
REIマジ?Aと一緒に?お前だけずる!!
汐崎 直人怜も、誘えばいーじゃん
REIえー。誘いたいけどオレ、嫌われてるっぽいよ
汐崎 直人さっき聞いたらさ、お前の事悪い人じゃないって言ってたよ。だから、一緒に食いたいなら、伝えとく
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めぐむ(プロフ) - Sakuraさん» Sakura,読んでくれてありがとう! (2017年12月28日 10時) (レス) id: b32ef37eb7 (このIDを非表示/違反報告)
Sakura(プロフ) - 可愛いお話(*^^*) (2017年12月27日 18時) (レス) id: 085712002d (このIDを非表示/違反報告)
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