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「ねぇねぇ、A。あの人カッコいいよ!」
「キョロキョロしないで、危ないじゃん」
「高校生なんだし、先輩と付き合ったりするかなぁ?きゃー!」
「速く歩いて。置いてくよ?」
私の隣で騒いでるのは、中学が一緒の美緒。ふわふわの髪をツインテールにしていて、うさぎみたい。男子にモテていたから告白はたくさんされていたらしいけど、本人は「年上のカッコいい人じゃなきゃ嫌」らしい。
そして今日、電車通学の練習のため、入学式だけど一緒に電車で高校まで来たんだけど……。
さっきから通りすがりの学生やサラリーマンを見ては「カッコいい!」と騒ぎ、「年上の先輩と付き合いたい」と1人で盛り上がったりしてる。
隣で歩いている私は、何度コイツを置いていこうかと思ったんだろうか。
「Aも一緒に、高校で彼氏作ろうよ!」
「やだ。あんたみたいに頭に綿つめたようなフワフワしたやつになりたくないから」
「あはっ、何それー!じゃ、私もAみたいに、頭に岩石しか入ってないような人になりたくなーい」
「大丈夫。あんたはずっとフワフワのままだと思うから」
そんな会話をしながら駅を出て、高校への道を歩く。
同じ制服を着た人がたくさんいる。これなら美緒とはぐれても、コイツは高校まで辿り着けるだろう、と考えていたら、
「あっ、もう1分しかないよ。先生が来る時間まで!」
「走ろ!先生と一緒に教室まで行きたいもん!」
恐らく先輩たちであろう人が、そう言いながら正門まで走って行った。
「A。あの人たち、絶対カッコイイ先生がいるから速く行ったんだよ」
「女かもよ?」
「とにかく、私たちも急ご!カッコイイ先輩じゃなくても、カッコいい先生なら見たい!」
美緒が私の腕を引っ張って、さっきの人たちのように正門まで猛ダッシュ。
「ちょっ、腕引っ張んないで!あんただけで行けばいいでしょ!」
私の声を無視して美緒は高校の敷地内に入る。
その瞬間、
「きゃ、今日もカッコいいです!」
「私たち、先生が来るの待ってたの♡」
「一緒に行こう?」
女子たちに囲まれた男の人が現れた。人が多すぎて顔は分かんないけど。
「あー、せっかく急いで来たのに、全然見えなあい!」
美緒は不満そうに言う。
「ありがとう。けど、他の生徒もいるから静かにしようね」
顔はよく見えないけど、綺麗な優しい声は聞こえた。
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めぐむ(プロフ) - Sakuraさん» Sakura,読んでくれてありがとう! (2017年12月28日 10時) (レス) id: b32ef37eb7 (このIDを非表示/違反報告)
Sakura(プロフ) - 可愛いお話(*^^*) (2017年12月27日 18時) (レス) id: 085712002d (このIDを非表示/違反報告)
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