コイイロパレット。【オリジナル】 (ページ12)

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先生が私を見た瞬間、慌てた様子で口パクで何かを言った。

多分、「ごめん」だ。

……あの人、何をしてるんだろう。いや、私じゃないかも。隣にいる美緒かもしれない。

だとしても、何で「ごめん」？

まぁ、いっか。そう思って、美緒と一緒に玄関へ行き、1年の教室まで階段を昇って行った。

*******

美緒と別れて2組の教室に入ると、既にいたクラスメイトたちの視線が突き刺さった。

クラスメイト、といっても、主に女の子からだけど。

きっと、昨日の平山の事だ。そう思いながらも、私は気にしていない素振りで自分の席へ行き、教科書やノートを机の中に仕舞う。

すると、数人の足音が近づいてきた。

「椎名さん」

「……何？」

声をかけられたから顔をあげると、にっこり笑った女の子たちがいた。この人たちは、昨日、他の人よりも積極的に平山を囲んで喋っていた人たちだ。

「昨日、怜くんに対してあの態度はなかったんじゃないの？」

「可哀想だったわ」

「怜くん、優しいから、1人でいる隣の席のあなたに声をかけてあげたのに」

「……確かに、態度は良くなかったから、それは平山に謝るつもり。だけど、それはあんたたちに関係ない話だよね」

淡々とそう言ったら、その人たちの笑顔が崩れた。私にイラついてるんだ。私の態度に、ムカついているんだ。

ダメだな。こんな教室で、落ち着いて読書なんて出来ない。

そう思って、私は、音楽プレイヤーと本だけが入った鞄を持って、立ち上がる。

「悪いけど、話なら後にしてくれない？」

そう言って、私は教室から出て行った。

向かった先は、昨日の資料室。