【wrwrd!】ベゴニアを離す。【gr】 (ページ5)

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Aが倒れる数刻前

今日のAの予定は補習か。なら、すぐ迎えに行かなくても大丈夫だな。何をして時間を潰そうか...。

思考を巡らせていると、声をかけられた。

「あのぅ、グルッペンくん、ちょっといい？」

声のした方を向くと同じクラスの女子生徒が立っていた。こいつは確か、桐野...だったか。ちょっとした学校の有名人だったはずだ。何で有名かは忘れたが。

「何か用か？」
「えっとぉ、ちょっと一緒に来て欲しいんだけどぉ」
「何故だ？」
「どうしても手伝って欲しい事があってぇ...」

喋り方が鼻につく女だな...。まぁ、Aを待つくらいの丁度いい暇つぶしにはなるか？

「.....30分で終わるなら行ってもいいぞ。」
「そんなにかかんないよ、10分くらい！」
「じゃあさっさと行くか。」

どうせくだらない事だからな。

桐野の後を付いていくと、校舎裏に到着した。わざわざ校舎裏に連れて来るという事は、告白の可能性が高いか...。めんどくせぇ。早く言ってくれんか、時間の無駄だ。なんならお断りRTAでもしてやろうか。

なんて考えていたのも束の間、桐野は俺に抱きついてきた。

背中に悪寒が走る。何だこの女、気色悪い。普通告白もしてない奴にいきなり抱きつこうなんて考えにならないだろ。あまりのことに身体が動かなかった。

すぐに動けなかった俺は後悔することになる。

後方で嘔吐と人が倒れた音の場所にはAがいた。
見られたのだ、この茶番を。何故ここに、と考える前に身体が動いていた。女を引っペがし、Aの元に走る。すでに意識が無くなりかけている。

救急車を呼ばなければ。すぐに携帯電話を取り出し、連絡する。連絡をしている間、俺の目はAを見つめていた。いや、目を離すことが出来なかった。

不謹慎にも俺はその一瞬、花に伏しているAを"美しい"と感じていた。一種の芸術品を観ているような気持ちになったが、そんな事を思っている場合では無いと、気を取り直す。Aの肩を叩こうにも、ほぼ全身が花に塗れていて、安易に触れられない。必死に声を掛けるが、意識が戻る様子は見受けられない。

後ろの女がわめく。

「うわぁ...キッモ...！えー！有り得ないんだけど！キモ！花吐くとか信じらんない！人間じゃないじゃん！化け物じゃん！」

憎悪で臓物が煮え滾るが、こんなゴミの事などを考える暇などない。今一番大事なのはAの容態だ。

無事であってくれ。頼む。