中原の覇王 part5 (ページ32)

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193話ページ32

魏豹は最期と言わんばかりに、拓跋珪と斬り合う

だが、母親譲りの武勇を誇る拓跋珪には敵わず、最後は真っ二つに斬り捨てられた

豹「(魏の先人達よ…今…そちらに向かいます…)」

魏豹は一瞬後に絶命した

昆陽の魏軍も全滅し、ここに魏は完全に滅亡した

秦は滅ぼした魏の旧領に、碭郡を設置した

魏の滅亡後、政は生き残っていた安陵君の魏無知をよびだした

政「俺は、嘗てAの土地である500里の地と、安陵を交換したいと思う。受けてくれるか？」

知「王は私に恩恵を加えて広い地を狭い地と換えようとされています。これはとても幸いなことです。しかしながら私は魏の先王からこの地をいただきました。生涯、ここを守りたいと思います。交換は出来ません」

政「ふむ…立派な男だ。土地の交換はせぬが、大金を毎月其方に与えよう。それと偉大なる信陵君の名は、其方が継ぐように」

知「ははっ！それと私の友を…陳平を用いて下され」

政「どんな男だ？」

知「生業に精を出さず、兄嫁に手を出すなど道徳の欠片もない男ですが、謀略と政治を裁く力は…昔の秦の名宰相、魏冄でも敵いませぬ」

政は陳平と引見する

陳平は想像以上の力を見せて、気に入った政は陳平を大臣の席に就けた

更に、張賓は蕭何をAに推薦してきた

魏の土地にいたAだったが、張賓を信用して蕭何を漢の大臣とした

魏は事実上の晋の後継者として、戦国時代初期において真っ先に発展し、多くの才能が集まった国であったが、君主がそれに付いていくことが出来ず、秦に移った者達によって圧倒されていった。
戦国四君最強の男である信陵君の出現で一時は盛り返すも、信陵君は秦の謀略で排除され、遂に滅亡した

魏の滅亡により嘗ての晋の流れを汲む国は全滅し、残る六国は楚だけとなった

魏を滅ぼし、咸陽に帰還したAだが、政に個室に案内される

部屋に入るやいなや、政は地面に頭を付ける

『大王様！？』

政「済まぬ！王として申し訳ないが…嘗て恩賞として与えた、漢の国を…秦に返還してくれ！」

『そんな…急にどうして…』

政「まだまだ天下は治まっていない…項燕を討つ為にも…国内に分王国が存在しては、動員が遅れてしまう…それでは、楚を消しされるか分からぬのだ！！」

『…それは大王様自身のお考えですか？それとも…李斯辺りが強制させたのですか？』

政「…ッ！…俺が…国を治める為に考えたのだ！」

『…分かりました。漢王位を降り、漢の国を秦に返還しましょう』