161話 ページ45
咸陽に来た趙玲は、政と面会する
政「其方が趙玲と司馬尚、劉淵だな。お前達の活躍ぶりは、幾度も耳にしている。これから其方達と共に戦えるのは、光栄なる限りだ」
政は趙玲と対等の位置に座り、手厚く三大天達をもてなし、今までの戦いぶりを褒め称え、優しい言葉をかけた
政は政治的配慮で虚言を弄したのではなかった
趙玲は感動した。邯鄲を出てから今まで、趙の宮廷で誰がこのような優しい言葉をかけてくれたか…
貰ったのは、幽繆王の無関心の言葉と、郭開ら佞臣達による殺意だけだった
深い孤独の中でもがき続け、一人悩み続けた
そんな自分を優しく労ってくれた人はいなかった
玲「大王様は…趙宮廷を牛耳る郭開という大臣を知っておられますか…?」
政「おお、知っているとも。奴は趙国を暴政で苦しめた張本人…八つ裂きにしても足りないくらいだ」
玲「私は奴に嫌われたために、趙のために戦えば戦うほど罪が重くなりました。功を立てても死、立てなくても死…行くも返すも死あるのみでした。私は国を想い、人民を想っているのに…佞臣共は宮中での権勢だけを考え、私を政敵と見なし、私達の家族の殆どを皆殺しにしました…郭開の奸佞、もはや誰にも止められませぬ…」
政「趙玲将軍…貴女が全身全霊をもって趙のために戦ったことは諸人が見て知っている。俺は貴女を尊敬しているのだ。郭開達は趙を滅ぼした後、我々で八つ裂きしようぞ」
玲「大王様…!」
政「中華統一を成し遂げれば、貴女を邯鄲へ還し、代々趙に封じよう。そうすれば、貴女は国を去った事による子としての孝を失う事もなく、君主への忠も失う事なく俺に帰する事が出来る!なんと美なる事か!」
玲「流亡の臣とは、罪を免じられるだけでも幸いなのです。本国での栄誉など、どうして望みましょうか!」
この言葉に政は益々喜び、趙玲を龍虎将に任命し、司馬尚達、降伏した三大天をその配下にした
これには反対する者もいたが、政は自身の意見を押し通した
この為、趙玲は三大天と六大将軍を同時に経験した、稀有な人物となった
当初は降伏した趙軍と折り合いの悪かったAの配下達であったが、主人であるAが粘り強く、熱心に説得した事もあって、最終的には皆が受け入れるに至った
郭「バカな!?仇敵の趙玲が受け入れられたと言うのか!?」
趙玲が受け入れられた事を知った郭開は、対策を行うも、最早その程度では趙の崩壊は止まらなかった
そして前228年…中華が大きく変遷する
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作者名:やなゆ | 作成日時:2022年3月28日 7時