中原の覇王 part4 (ページ23)

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139話ページ23

合従軍を包囲したという知らせは、政の元にも届いた

政「やった…やったぞ！」

文「おめでとうございます大王様！これで我が国の勝利は決まったでしょう」

喜ぶ政だが、あることが頭を過ぎる

政「最早、Aに勝てる人間はこの世にいない…味方であれば最高の仲間だが、敵に回れば太刀打ち出来なくなるだろう」

平「大王様。そのような考えを持ってはいけませぬ。拓跋Aは正しく評価していれば、叛心を抱く人間ではありません」

政「…そうか…」

だが政の頭から、不安は消えなかった

後のAと秦国の反目は…この時からだった

包囲された殷浩は、武器は戦闘2回分しかなく、食料は12日分しかないと緊急の要請を送ってきている

しかし事態の余りの急変ぶりに、楚にいる項燕達は具体的な救援策を考えることが出来ずに、時間だけが空しく経過していった

そうして膠着状態のまま、再び秦の冬が到来した

最初、秦側は8万名ほどの楚軍を包囲したものと考えていた
　
ところが、捕らえた相手は想像以上の大物であった
　
この包囲網の中には、楚軍の他、さまざまな部隊、魏、燕、斉、韓などの楚の同盟国の軍隊も含まれ、その数は実に50万人にも及んでいたのである

また兵をつるべ打ちに投入していた為、六国は兵士がいなくなっていたのだ

つまり…合従軍の全滅は、国軍の消滅を意味した

そんな中…遂に震災から、ある程度立ち直った趙軍15万が到着した

尚「情報にあった通り…事態は極めて深刻かと」

玲「だけど退くわけにはいかないわ…閉じ込められた合従軍を救うわよ！」

やがて救出作戦が実行された

それは、武関の内と外から同じ方向に向かって進撃して、突破口を作ろうとするものであった

この救出作戦は、12月1日に開始される予定だったが、過酷な自然条件に加えて、兵糧が整わなかった事もあって刻々として進まず、それから2週間も延期された上で開始された

その間、状況はどんどん悪化して望みは急速に減っていったが、それでも12月21日には、趙軍は武関の城壁に、落とすことは不可能ながらも張り付く事が出来た

この近さだと、武関の外の剣戟の音を聞くことが出来る距離である

今や、合従軍にとって、最大の救出のチャンスが到来しようとしていた

この時、閉じ込められた合従軍の精鋭が全力を傾ければ、恐らく…脱出することが出来たであろう

趙軍総大将の趙玲は、合従軍総大将代理の殷浩に、今こそ脱出するべきだと何度も決死隊を使った伝令を送った