侍の紅一点 (ページ47)

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過去編25話ページ47

寺島は後続は抑えるも、スタンド方向を見上げていた

「て、寺島…」

「今分かりました」

「へ？」

「チームの逆転を確信していたからこそ、あそこまで堂々としてられたんですね…」

寺島は西谷監督の方を向く

「これが大阪桐蔭…これが春夏連覇の監督…！」

最終回、履正社の攻撃

大阪桐蔭は選手交代を告げる

〈大阪桐蔭高校、守備位置の交代をお知らせ致します。代打で出場致しました西巻くんがセカンドに入り、セカンドの黒宮さんがマウンドに上がります。ピッチャー、黒宮さん。セカンド、西巻くん。以上です〉

西谷監督はこの試合はクローザーとしてAを投入した

マウンドに上がるAを見て、履正社が少し見とれる

「あ、あれが黒宮A…」
「何だあの威圧感は…」

「シャキッとせぇ！打ち崩してウチが甲子園に行くんや！」

岡田監督が履正社ナインを引き締める

履正社は4番から始まる好打順

「名門大阪桐蔭で1年夏からエースになった実力、見せてみろよ！」

Aは挑発してきた履正社4番のインハイギリギリに150超えの剛速球を投げ込んだ

「っつ〜！気合い入りすぎだって！」

履正社は震えながら呟く

「1年でこの威力…何の生き物だ…！？」

Aは速球と変化球を遊びなしで投げ込み、あっという間に連続三振を取った

2アウトランナーなしで相手は今試合2打点の安田

だが、そんな安田からもAは一瞬で2ストライクを取った

大阪桐蔭サイドと大多数のA目当てのファン達の大歓声と、履正社サイドの藁にも縋るかの様な応援が入り混じる中、Aは最後にスプリットを投げた

安田のバットは空を切り、試合が終わった

【三振ー！試合終了ー！大阪桐蔭4年連続9回目の夏の甲子園出場ー！終盤までリードを許すも、今まで抑えられてきた神凪が起死回生の満塁ホームランで試合をひっくり返しました！敗れた履正社高校、寺島が終盤まで試合を作りましたが、8回に痛恨の一発を浴びてしまいました！】

大阪桐蔭はメンバー全員がマウンドに集まり、Aは揉みくちゃにされながら皆と抱き合った

履正社は3年生を中心に殆どが泣き崩れる

「立て…皆整列や…」

整列後、Aは安田に声を掛けた

『安田くん！』

「黒宮さん…なんや…？」

『す、凄い打撃だったよ！次もまたやろーね！』

「…！あぁ！俺は必ず強くなって、選抜に出て見せる！次当たったら…俺達履正社が勝つ！」

そう言い、安田は試合場を後にした

Aの初甲子園が決定した